今朝のニュース記事から(2月1日)

おはようございます。森のすず社会福祉士事務所 です。

今日から2月。
ブログの更新が滞りがちなので、自分で目標を決めてアップしていこうと思います。
Googleアラートが運んでくれる朝のニュース記事を見て、感じたこと考えたことなどを中心に。

 

認知症になっても住みやすいまちをつくる活動は、徐々に広がっていますね。

 

さて、今朝は日本経済新聞のWebニュース掲載の
『認知症「家族への負担が不安」73% 内閣府調査 』
について。

 

ちなみに、この記事の元になっている内閣府の調査に関する情報は、内閣府のホームページにあります。
内閣府 世論調査

認知症に関する世論調査結果 PDF(令和元年12月調査)

 

日経で取り上げられているのは、

■自身が認知症になったときに不安に感じること
→「家族に身体的・精神的負担をかける」73.5% 最多 (2015年調査から1.4ポイント減)
→「家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまう」61.9% (5.4ポイント増)

■認知症になった際の暮らし方については
→「医療・介護などのサポートを受けながら今まで暮らしてきた地域で暮らしたい」28.9% 最多
→「周りの人に迷惑をかけるため介護施設でサポートを受けながら暮らしたい」27.7%

家族が認知証になった場合にストレスや精神負担を不安視する回答は65.1%
家族以外の周りの人への迷惑を心配する答えは58.3%
認知症の人と接したことがあると答えた人は61.6%(前回調査から5.2ポイント増)
このうち家族に認知症の人がいる(いた)との回答が47.7% 最多

 

という内容です。
内閣府にある概要版を見てみると、上記以外にも『あなたは、「成年後見制度」について、どのようなことを知っていますか。 』という質問もあり、なかなか興味深いです。
ちなみに、この質問に対しては、きちんと理解していると推測される『「成年後見制度」は、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分 な方の権利や財産を守る制度である』を選んだ人が40.8%。
言葉だけ知っていて内容をしらない、言葉も内容もしらないというのを選んだ人の合計、つまり「内容しらない」状態の人は49%。

知らない率は、若い世代ほど多く、18歳から29歳の回答者は7割以上が「内容しらない」状態の人です。
また、全年齢を通じて、認知症の人と接したことがない人が「内容も言葉もしらない」と回答しています。
やはり、制度の普及や啓発は、身近にその利用を必要とする人がいるほうが、見知って意識されやすいようですね。

 

ところで、日経に取り上げられている内容に戻りますが、「認知症になったときの生活」について考えると、多くの人が、家族なり周囲の人に迷惑をかけたり負担を増やしてしまうことを考え、心配しています。
そして、生活の場として選びたいのは、地域や介護施設ですが、その理由や背景としては

■認知症になった際の暮らし方については
→「医療・介護などのサポートを受けながら今まで暮らしてきた地域で暮らしたい」28.9% 最多 (2015年は30.3% )
→「周りの人に迷惑をかけるため介護施設でサポートを受けながら暮らしたい」27.7% (2015年は27.5% )

を挙げています。ちなみに、日経には上位2つが紹介されていますが、調査は他にも選択肢があり

→認知症になると、身の回りのことができなくなってしまうので、 介護施設で必要なサポートを利用しながら暮らしたい  21.6% (2015年は20.2%
→認知症になっても、できないことを自ら工夫して補いながら、 今まで暮らしてきた地域で、今までどおり自立的に生活していきたい  12.9% (2015年は13.4%
→認知症になったら、誰にも迷惑をかけないよう、ひとりで暮らしていきたい 5.8%(2015年は4.6%

と続いています。

 

たしかに、「サポートを受けながら地域暮らしを続けたい」は最多ですが、前回の調査よりも、これを望んだ人の割合は下がっています。
また、「できないことを自ら工夫して補いながら、いままで通りに自立して生活したい」と考える人も、0.5%と僅かですが減っています。

一方増えているのは、施設で暮らすことと、「誰にも迷惑をかけないよう、一人で暮らしていきたい」という割合です。

 

どうも、地域包括ケアシステムの構築によって目指している「住み慣れた地域でいつまでも」必要なサポートを得ながら、サービスを利用しながら暮らしていく、というイメージは、ここ5年で定着や広がり深まるわけではなく、逆に減ってしまっているような結果です。
注目すべき点は、「一人で暮らしたい」という選択肢を選んだ人が、増えていること。
これは、今現在も地域では認知症カフェなどを開き、社会から離れてしまわないように、地域の場にでてきて交流が図れるようにと取り組んでいることとは、相いれないような結果に思います。

 

統計結果から見えてくるのは、ざっくり表現すると「認知症になったら、家族の負担になりたくない。周囲に迷惑もかけたくない。だから施設で、職員に介助してもらいながら、生きていく。でも、それが嫌だとおもったら、一人でひっそり生きていく。家族や周囲に迷惑はかけたくない」という思いが強く存在する社会なんだな、ということです。

 

たしかに、私自身がこの調査を受けたら、迷惑はかけるのを不安に思い、それを心苦しく思って生きるのであれば、施設に入り、プロの人に介護をしてもらい気楽にいたいとおもう気もします。また、「でも、おカネがかかるだろうから・・・」と思うと、一人でひっそりと生きていけたらなぁ・・・と思う気もします。あくまでも、イメージなので実際にそうなったときどういう行動をとるかはわかりませんが、日ごろ認知症啓発活動を行っている立場であるのですが、具体的に考えると、「家族の手は煩わしたくないなぁ」と考える気持ちが湧きます。

面倒をかけたくないなぁ、とおもう気持ちの裏側には、今の時代は多くの人が仕事をし、自分や子やその家族の生活を行うことに一生懸命で、「私の介護に時間を取らせるなんて申し訳ない」という気持ちがあるように思います。

 

そんな風に考えると、認知症になってからの生活をどうすればいいか、どのようにこれからの超高齢社会を迎え、孤独死やセルフネグレクトをなくしていけばいいのかを考えるときに、個人が抱いている感情と、それを抱かせる背景に目を向けていくことが必要に思います。まだまだこれからも、認知症になっても住みやすい街をめざして、また、地域包括ケアとして誰もが地域で暮らしていける仕組みづくりをめざして、取り組んでいくことが大切です。