高齢者虐待の要因の第1位は…

おはようございます、森のすず社会福祉士事務所です。
今週も、ほどよく元気にまいりましょう。

先日、チーズを買ったのですが、一切れ食べただけで行方不明になりました。どこに置いたのやら・・・。

 

さて、先週衝撃的だった、神戸市内の精神科病院で起きた虐待により複数名の逮捕者が出た事件。
続報をみていると、その内容の具体的な状況がいくらか伝わってきていますが、行われていたことはとてもひどいものです。

この件は病院内で起きていたことなので、介護保険での入所施設などで行われる虐待発生時の通報に関する仕組みは機能しにくいとおもいますが、それでも、そもそも気づいていないというような状況だったようでもあり・・・
そんなことってあるのだろうか?と思う次第です。

 

さて、私も虐待防止研修を介護施設や障害者支援施設等で実施することがありますが、その際にみんなで確認する統計データの中には、虐待に至る虐待者の要因についての情報があります。

「平成29年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に基づく法律に関する対応状況等に関する調査結果」
によると、わが国の要介護施設従事者等による虐待の発生要因は

1 教育・知識・介護技術の問題 60.1%

2 ストレスや感情コントロールの問題 26.4%

3 倫理感や理念の欠如 11.5%

がトップ3です。ちなみに、「虐待をおこなった職員の性格や資質の問題」は6番まで上がっているうちの6番目、5.3%です。
現場でおこる虐待は、半分以上の原因が、「きちんとした介護や支援の教育を受けていなくて、知識がない、技術が身についておらずにやっていて起こっている」ということのようです。

だからこそ、報道されていた事件のひどさは目に余るものがあります。

 

病院にしろ介護施設にしろ、それを使う必要がある人にとっては、なくてはならない場所です。
行きたくて行く場所ではないかもしれませんが、暮らしの中でやはり、自宅を離れてケアを受ける場所は必要な場合には必要です。
行きたくなくて行っている場所で、辛い目にあうということにならないように、支援する側は虐待の防止についてきちんと考える必要があるでしょうし、それこそ虐待についての「知識や教育」を身に着けておくことは大切です。

大切なのは、虐待はやってしまった人だけの問題ではない、と理解することです。
1人で学び、一人で感情コントロールをおこない、ストレスも解消し、ひとりで理念をしっかり持って・・・
出来ないわけではないと思いますが、基本的に施設での介護はチームでの介護。
法人や事業所全体で、虐待をしないという共通認識と、そのためにどうするかをみんなの課題として考えることが大切です。
そういう風土をもつことが、一番大切。

個人的な資質を変えることは、なかなか容易ではないように思いますが、教育であれば、学ぶ機会を得て、学ぼうと思えば、身についていきます。
教育を受けることで、いろんなことを知り、考え、個人の考え方や行動が変わる可能性ももちろんあります。
虐待防止は、一回限りの勉強で習得できるものではありません。
みんなで、いろんな形の学びを続けていくことが大切です。

私たちが、日々、虐待防止について考え、自分を振り返り、周囲に気を配り、「あれ?大丈夫?」と思ったら相談をし、相談できる体制を作り、利用者さんの声と様子に目と耳を向け・・・

虐待を防止する意識と共に、「グレーゾーンの介護を減らす」ことを意識し、不適切なケアから、配慮のあるケアへ変えていけるよう、日々の積み重ねが大切だと思います。

その為には、まず、初心に戻り、どんな仕事をしたくて福祉や医療の世界に入ろうと思ったのか。
なんとなく、入ってしまった人は、今からでも、どんな支援でどんなことを社会へ伝えていきたいのか。
そんな、「私が働く理念」を見つめなおし、また、働く先の理念も確認し、福祉の仕事を続けていけたらと思います。

福祉とは、漢字は、福も祉も、「生活の中にある、しあわせ」を意味します。
それを実現できるように・・・現実はいろんなことがありますが、できることから少しずつでもやっていきたいものです。

今週も、ぼちぼちと、頑張ってまいりましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。