身近に感じる、社会モデル~ペットボトルやハイヒール~

ここにペットボトルがある。開けるための力が弱いと、うまく開けられない。
ここに缶入りの飲料がある。指先でプルタブをひっかけられないと、うまく開けられない。
目の前に飲み物があるのに、飲めない。暑くて、喉が渇いて、つらい・・・。

こんにちは、森のすず社会福祉士事務所 森保です。
暑くなってきました。日々の水分補給はこまめに、塩分補給も適度に行なって夏を迎えましょう。

さて、水分補給といえば、マイボトルを持ち歩いている人も多いですが、私はペットボトルを愛用しています。
購入することも多いですが、お気に入りのペットボトルに水を詰めて持ち歩くこともあります。
飲み物をカバンにいれて持ち歩くときに、一番恐れていることは、「漏れる」ことです。
ですので、鞄に入れるときは、ギュギュギュ!!!と力いっぱい締めています。

結構力が強いほうなので、ペットボトルに限らず締めるものを締めると、ときどき「誰がこんなにかたく締めたの?」ということを耳にすることも・・・はい、私です。悪気はないんですが・・・スミマセンと思います。

ペットボトルを開ける、缶コーヒーを開ける、というのは、普段何気なくしている動作です。
話をしながら、ペットボトルを開け閉めして飲んでいます。
休憩中に考え事しながら、缶コーヒーを開けることもあるでしょう。
できる人にとっては、なんてことない仕草です。

でも、一方で、「瓶のふたが開かない!」ということを経験したこともあるでしょう。
きっと子供の頃、「開かない、開けて」と大人に頼んだことは、誰にでもあるはずです。
蓋が開かないとなると・・・

ここにペットボトルがある。開けるための力が弱いと、うまく開けられない。
ここに缶入りの飲料がある。指先でプルタブをひっかけられないと、うまく開けられない。
目の前に飲み物があるのに、飲めない。暑くて、喉が渇いて、つらい・・・。

そんな状況は、想像しただけでつらいです。

ところで、「ペットボトルを開ける」ときの力って、どれぐらい必要なんだろう・・・?
とちょっと疑問に思って、Web検索をしてみると、いろいろと難しい内容が・・・
ひねる力は「トルク」というらしいというのはわかりました。
また、その日寝る力を測定する機械もあるんだな、とわかりました。

世の中には知らないことがたくさんありますね。
そして、結局いまのところ、ペットボトルを開けるのに、どれぐらいの力が必要なのかはわからないのですが・・・
(ご存知の方、おしえてください)

経験則で言えることは、「子どもの力だと開かないことがあるし、高齢者にも開けられないことがある。」です。
手でしっかりとペットボトルを支え、ふたを捻る動作が難しい人も、あけられないでしょう。
ふたが極わずかな力でしまっていたとしても、意外と小さなキャップですから、そこをうまくひねられないと難しい。

私が何気なくしている動作は、私も将来難しくなるのかもしれません。

そんな時に、
「開かないのは手が弱いからだ!もっと手を鍛えろ!回す訓練をしろ!一日100本分、開けるトレーニングを毎日しなさい」
と考えるのか、
「開かないのは開ける道具もなにもないからだ。ペットボトルを開けられる道具を備え付けておこう。
それに、もっと開けやすい蓋に改造することもできるだろう」

と考えるのか。

前者はいわゆる、障害の「医学モデル」です。
社会生活での困難の原因が、身体にあるという考え方で、その状況を打破するためには、身体を鍛えたり治療したりして、できるようになろう!という考え方です。

後者は、障害の「社会モデル」という考え方です。
社会生活での困難の原因が、社会の環境にあるという考え方です。例えば、階段を昇れない場合は、エレベーターを備え付けよう、というように、道具や設備、他者を含めた環境を備えることで、できる状態にする方法です。

先日、作業療法士さんの講演を聞き、ペットボトルや缶コーヒーが開けにくい場合に便利な道具「ペットボトルオープナー」をもらいました。

デザインも可愛いし、ネーミングも面白い。たしかに、これさえあれば、苦労無し・・不苦労で開けやすくなりますね。

説明の中で、『缶が開けにくいとか、ありますね?』という言葉があり、そういえば昔マニキュアをしていた頃は、爪を少し伸ばして指先には気を使っていたけれど、缶ジュースは開けられなかったなぁ・・・と思い出しました。
またその日、少し高いヒールをはき、手荷物にリュックとすごく重い荷物を運んで会場へ行ったのですが、足は痛いし手も痛いし、ヒールでふらつくし・・・。電車にのるときは、普段は使わないようにしているエレベータやエスカレーターが便利でした。

余談ですが、ほんと、ハイヒールの、特にヒールが細いものは、歩きにくい!痛いし!!
でも、いろいろと訳があり履かねばならない時もあります。
そんなとき、駅のエレベーターのありがたいことったら。
そういえば、「キューティーブロンド」という映画の中で、主人公がピンヒールを履いていて、恋人と喧嘩をして歩いて帰る!というシーンがありました。恋人が「靴が傷むから、車に乗りなよ」と仲直りのために声をかけると、主人公は「それもそうね」と乗るシーンがあったと思うのですが、おしゃれをするというのは、いろいろと社会生活での制約や不便さもありますね。

「社会モデル」で考え作られる世の中は、障害の有無や身体の衰えの程度にかかわらず、だれにでも優しい街、便利な生活になるんだなぁと実感したり、感じたり。
福祉にまつわる話は、特定の人のものだけではなく、誰にでも実は関係があるんだなぁと思う経験でした。

 

暑い季節が始まりました。
水分補給、ミネラル補給、涼しさ確保、早めの休憩、ぐっすり睡眠!
大切です。こまめに身体をいたわっていきましょう!