日: 2019年7月14日

プライバシー配慮と安否確認は同時にできないの?

プライバシーへの配慮や、個人情報保護は大切な話。どうすればいいのか?
そんなことを考えてみました。

こんにちは、森のすず社会福祉士事務所 社会福祉士の森保(もりやす)です。
読み仮名ふってないと、たまに「もりほ」って呼ばれます。
森保監督就任後は減りましたが、先日、久しぶりに「もりほさん」と呼ばれたので、一応読み仮名ふってました。

さて。

明石市の介護付き有料老人ホームで、孤独死2週間の件の調査の話。

神戸新聞の記事によると、明石市の調査結果が出たそうで
『男性のプライバシー配慮を理由に、施設が健康状態や安否の確認を十分に行っていなかったことなどが原因』
で、死後長い間気づかれなかったそう。

プライバシーを守るとか個人情報保護って、なんのためにあるんだろう…と多くの方が思ったのではないかと思います。

最近、私は高齢者や障害者の防災関する仕事の機会が多いですが、避難する際に支援が必要な方の名簿活用の話の際には、必ずと言っていいほど「個人情報保護の関係で、どこまで踏み込んでいいのかわからない」という話を聞きます。

大切ですね、個人情報を守ること。プライバシーに配慮すること。

だれだって、自分の生活に踏み込まれたくはないし、自分のことをあちこちで言われたくありません。福祉関連の話の場合、特に、身体の状況や経済的状況など、いわゆるセンシティブな情報が多いですから。

とはいえ、「個人情報保護をしなければならないから、安否確認ができません」とか「プライバシーに配慮しないといけないので、いざという時にもどうしようもない」ということで話が終わってしまうと、良くないです。

良くないですが、では、どうしたらいいでしょうか。

地域での防災の話は置いておくとして。

施設やそれに準拠するような場所での、安否や安全確認は、その場所に高齢者や配慮が必要な方が集まって生活をしている状況を考え、また、なぜその場での生活を選ばれているのか、を考えると、やはり、何らかの方法で安否を気遣い確認することは必要だと思います。

高齢になればなるほど、ちょっとした体調不良でも大きく悪化することもあります。それが、徐々に進むのではなく、一気に動けなくなる可能性もあります。もちろん、心臓や脳などで異変が起こり助けを呼べる状況でなくなったり、室内で転倒して骨折し動けなくなる場合もあるでしょう。

若い人が一人暮らしをするときにも、命や健康にかかわることが起こる可能性はありますが、高齢者の一人暮らしからの孤独死リスクと考えると、それはどちらがリスクが高いかは、直感的にわかります。

やはり、何らかの配慮は必要。

では、プライバシーの配慮や、個人情報保護とどう折り合いをつけると良いのか。

もっとも、福祉専門職の場合、個人情報保護に関しては、守秘義務が課せられているはずです。人として、人のことをぺらぺらと外で話すのはNGだと思いますが、福祉専門職の場合、職場で、また、その国家資格のなかで、個人情報の取り扱いに関しては、制限がかけられているはずです。

プライバシーへの配慮ですが、工夫をすれば、安否確認は、顔を合わさずともできる時代です。

IOTの活用は、もうずいぶん前から言われています。安否確認機能付きポットが登場したときは、斬新だな、と思いましたが、今ではそれができ、それが活用できるのも、不思議でも何でもありません。高齢者用の公営住宅では、水の使用が一定時間ない場合、見守りの職員さんが訪ねて来る仕組みになっていると聞いたこともあります。電話をする、インターフォンで喋るなど、顔をあわさずに生存を確認する方法はいくらでもありそうです。

余談ですが、オンラインゲームが好きな人が、「私がオンラインゲームにログインし無い日が3日続いたら、倒れていると思うから、なんとかしてって、ゲーム友達には言っているの」という話をされていました。なんとするか、の部分をきちんと詰めて置けば、オンラインゲームんぴ確認の道具にはなり得ますね。もちろん、画面の向こうが誰かはわからないので、なりすましが…と言い始めると、キリがなく、事件性が…と想像するのは、刑事ドラマの見過ぎです。

結局、思うのは、「個人情報保護」だとか「プライバシーの尊重」という言葉は、命をまもらなくてもいい言い訳に使われやすいのだなぁ、ということです。たしかに、それらは大切です。現代社会を生きてく上で、家に帰ると近所のおばちゃんがしばしばリビングに上がり込んできてしゃべってる、とか、我が家の内情をいろいろ知っていたり、近所の家の情報をいろいろ住民が知っている、というのは、これはなかなか気持ちの上でつらいものです。やはり、適度な距離を置いて、相手の生活を尊重するお付き合いは大切だとおもいます。なので、そういう状況を踏まえて、『何ができるか』『何をすればいいか』を考える必要があります。

民生委員さんと話をすると、個人情報保護やプライバシーへの配慮と、安否確認や状況確認の仕事にはさまれ、いろいろな苦労とともに工夫をされている話を聞きます。「なにかできないかな」と常々考えることは、大切だと思います。

『男性のプライバシー配慮を理由に、施設が健康状態や安否の確認を十分に行っていなかったことなどが原因』で、死後長時間放置されてしまったことは、単に、プライバシー配慮を言い訳に、その入居者さんが、高いお金を払い高齢者ばかりが集う建物へ入ってきた意図も考えることがなかった、と言うことなんだろうと思います。

元気で、長生きし、ピンピンコロリを目指す方は多いと思います。
でも、年老いて来ると、突然何があるかわからないから、と、備える人も多いと思います。

ご自身で自由に生活できることは、素晴らしいことです。
無理やり介護の手を入れる必要はありません。

ただ、やはり、年と共に健康への不安は強くなるもの。身体面の大きな変化のリスクも高まるもの。見守りや、安否や状況の確認は、これから先より一層大切なものとなるはずです。今一度、個人情報保護やプライバシー尊重の意味や方法について、考える必要があるように思います。

みんなが安心して暮らせる地域社会づくり…実際は難しいですが、一つ一つ、なんとか考えていくしかないでしょう。続けていきたいとおもいます。