日: 2019年7月4日

生活の金銭管理って、意外と難しいという話。

お金のやりくりって、できている人にとっては当たり前のことだと思うのですが、できない人にとっては、いろいろハードルが高いよねぇ…と思うのです。

こんにちは、森のすず社会福祉士事務所 森保です。

一応、ファイナンシャルプランニング技能士の2級をもってます。
昔々、生命保険代理店等で働いていたときは、ファイナンシャルプランナーAFPの資格も持ってましたが、その後、金融関連の仕事からは離れたときに更新はやめてしまいました。
今思うと、勉強を続けておけばよかったかも・・・と思います。

もちろん、勉強を再開するのに遅いなんてことはないのですけども。

森のすず社会福祉士事務所は、多岐にわたる業務をしていますが、中でもメインの業務は成年後見関連のお仕事です。

成年後見人等のお仕事は、大きく分けて「財産管理」と「身上監護」。
簡単に言うと、お金の話と、生活の安心安全の話。

成年後見人等は、いろんなことを代理でしたり、時には、被後見人さんの行いを取り消したりする場合もありますが、でも、基本的には、被後見人さんの「意思尊重」はとても大切です。
意思を尊重し、意思決定を支援し、そのために、意思の確認をできる限り行っています。

もちろん、理解や判断などの認知機能について、いろいろな状態があるので、個別の対応は大切。そのためには、適切なアセスメントができることは、意思決定を支援する際の大切なことです。

まぁ、それは当然として。

最近思うのは、金銭管理って、難しいものだな、と。
お金のやりくりって、できている人にとっては当たり前のことだと思うのですが、できない人にとっては、いろいろハードルが高いよねぇ…と思うのです。

ファイナンシャルプランニング関連の資格を取ろうとすると、かならず、家計について学ぶことになります。

いくらでもお金があり、無限に使えるのであれば、正直なところ、管理なんて必要ないわけです。
実際の生活には、いろんなものに限りがあり、その制約の中で、何をどうするかの判断が必要です。
家計に関していうと、収入は、働いて得られたり、年金としえ得ていたり、預貯金の利息や株の配当、賃貸物件をもっているとそこからの収入があったり、いろいろあると思います。
支出は、衣食住や税金、経費など、いろいろ、生活のステージによってさまざまです。

あたりまえのことですが、収入>=支出であることは、原則として大切なことです。
もちろん、「預貯金がものすごくたくさんある」、とか、「一時的に収入<支出になるけれど、間は蓄えでやっていける」ということはあると思います。
そういうのは例外として、今は考えませんが。

この当たり前の『収入>=支出』は、もうちょっと言葉を変えると『使える金額>=使う金額』です。

つまり、生活全般としては、収入以内で支出を考える必要がありますが、実際は、その収入をもっと細かく分けて考えているのではないかとおもうのです。
例えば、「食費は毎月5万円ぐらいは使っても大丈夫」とか「車の購入はだいたい250万円以内のものを」とか。

子どもの場合、お小遣い制であることも多いと思います。
お父さん・お母さんもお小遣い制かもしれませんが・・・。
そのお小遣いというもののやりくりも、「使ってもいい金額(=お小遣い金額)>=使う金額」である必要があるでしょう。

「なくなったから、ちょうだい。足らないから、もっとちょうだい」というのは、お小遣いであれば、ある程度は対応してもらえる場合もあるかもしれませんが・・・そうばかりでもないでしょう。

ところで、この、決まった金額のなかで、やりくりする、という場合に必要な能力ってなんなのでしょう?

まずは、数を比較する力が必要です。
「1万円もらって、9千円のものを買った。」ここまではOKでしょう。
「1万円もらって、毎月1万2千円の支払いが必要な分割払いでオモチャをかった」だと、良くないでしょう。足りませんから。
1万円より、9千円は小さいから買える、1万2千円は大きいから買えない、という判断をするためには、数の大小がわかる必要があります。

記憶力や計算力も必要でしょう。
上の話の続きで、9千円のものを買ったのはいいけれど
「でも、実は1万円の中から、5千円は後から支払う必要があるのだった。」ということになると、もはや足りません。
何をいくらどのタイミングで支払うべきなのか、それを払うと後いくら使えるのか?が考えられないと、やりくりできません。
つまり、1万円もらったけれど、5千円はあとで必要。だから、今から使えるのは残りの5千円・・・ということがわかるかどうか。

計算ができても、あとは、我慢ができるかどうか。
5千円しか使えないことは、わかっている。でも、どうしても、毎月1万2千円ずつ払うローンで、このオモチャがほしい!というのを、納得し買わない我慢できるかどうか。

もしくは、将来への見通しをたてて、今後の収入の変化と、月賦のバランスを考えられるかどうか。
こうなると、予測する力、計画する力が大切になってきます。

つまり、簡単に「お金は、決められた金額のなかで使ってね」と表現している金銭管理に必要な能力は、記憶力・計算力・数字の理解・大小の比較能力・予測力・計画力・実行力・抑制力などなど、いろいろと複雑に認知機能を働かせる必要があるわけです。

もちろん、実際は、お金の範囲で買えばそれでいい、ということばかりでもないでしょう。
それを本当に買ってもいいのか、それ以外に先に買わねばならないものがあるのではないのか、もっと安く買えないのか?などなど、実際のお買い物や金銭管理に必要な能力は、もっと複雑です。

そういうことを考えていると思うのですが、成年後見制度等での金銭管理は、当然、やりくりができるように、専門職として収入や支出については押さえていますが、同時に本人の意思決定を尊重しようとする場合、単に「今月のおこづかい」として渡すのではなく、ご本人ができることはしていただき、できることの幅を広げ意思決定とその尊重がより柔軟にできるような支援が大切かと思います。

実際は、かなり難しく、とくに認知機能が低下していく認知症の方への支援の場合、時間と共に難しくなることは多いのですが、それでも、意思決定支援に取り組むべきなのはかわらないわけですから、少しでもそういう点でより良い支援ができるようになりたいな、と思います。

昔勉強していたファイナンシャルプランニングの知識を、今また、確認し、そして、できそうな部分については、利用者さんにそのノウハウを分かり易くお伝えし、ご自身でできる幅をひろげ、ご自身の思いに近い生活をしていただけたらいいな~と思っています。

お金は大切。
最近の、老後資金2千万だか3千万だかの話をみていると、お金は大切って、ほんと、思う今日この頃です。