「先生って呼ばれる仕事は」という話~歯科通院で得たもの②~

こんにちは。森のすず社会福祉士事務所 森保です。
今回は、前回に引き続き、歯科受診での話。

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私はどうも噛む力が強すぎるらしく、それが骨に負担をかけ、其れにこたえようとした歯を支える部分の骨が隆起しているらしいんです。

そういえば、内側に出っ張っているのがわかります。

わかりますが、他の人がどうかなんて今まで気にしたこともなく、自分のあごがそんな風に変形しているとも思ってもみませんでした。2年ほど前の初受診のときに、いまの主治医に教えてもらうまでは。

最近、日常生活の中でも、歯を食いしばっていることが多いです。気が付くと、上下の歯をきちっと閉じぎゅっとかみ合わせています。書類をつくるとき、考え事をするとき、運転をするとき、テレビをみるとき、作業をするとき・・・だいたい、かみしめていることに気が付きます。

昔、20歳代ぐらいのころ、ストレスチェックの項目に「普段、口を閉じているときに歯をかみしめている人要注意。口を閉じて両奥歯は隙間が空いている状態が正常」というような文章を見つけて以来、ときどき思い出したときに自己チェックしています。

20歳代のころは、基本的には奥歯は普段かみしめていませんでした。

ところが、ここ数年、かみしめていることに気が付いています。その都度、かみしめを開放しますが、気が付いたらまた、かみしめています。

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歯科通院を最近再開し、主治医からは、骨の変形と、強すぎる力でかみしめることが歯をいためてしまうことなどを、説明してもらいました。

なるほどな~・・・・でもどうすりゃいいのかな~・・・と思いながら聞いていました。

まぁ、骨の変形や歯を傷める説明も大事なのですが、私にとっては先生の次の言葉がすごく印象的でした。

自分じゃ、わからないでしょ?噛む強さも、歯の変形も。それが普通じゃないって言われても、わからない。自分の中では、それが普通だもんね。

でもね、”先生”って呼ばれる仕事をしている人は、何百人何千人何万人とみている。だから、それが、その大きな数の中でみたら、普通じゃないんだってことがわかる。

先生はそれを伝えるのも仕事なんだ。

今だけを見ていると、そんなこと言われないかもしれない。自分で痛くないのなら、気にならないから、何もしないで過ぎていくかもしれない。

でも、それだと良くない。

だから、説明をしているんだけれど、このままだと、骨ももっと出てくるかもしれない。歯も傷みやすい。手段としては、マウスピースをつけてかみしめることから守るとかね・・・・

自分がマウスピースをするかどうかは置いておいて、私はこの話の内容の、「先生と呼ばれる仕事の人は、大勢の中からみたその人の状態について、きちんと伝えることも仕事」ということに、すごく心を奪われました。

いい悪いは置いておいて、私も最近、「先生」と呼ばれる立場で仕事をすることが増えています。福祉の中の先生ってなんなのか、と思うけれど、例えばスクールソーシャルワーカーの場合、学校の中では「先生」と呼ばれることが多いと思います。後見受任をすると、裁判所や関係機関に出向いたときには「先生」と呼ばれます。自分では何の先生だろう?とおもっていましたが・・・

でも、もし、「先生」という敬称の意味を、「大勢の人や、広い状態をみて、個に返していき、より良い状態へつなげていく仕事をする人」だとするのなら、大きく離れてしまっているわけではない気がします。

逆に、そう呼ばれる場面があるのなら、きちんとその責務を自覚し、それを果たせる能力を持つべきなんだと思いました。

いわゆる、それが、プロ意識 ということかな、と。

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私は権利擁護を行うことを第一に考える社会福祉士でありたいとおもいますが、しかし、その中には常に迷いがあります。本人主体、本人の意思尊重と、権利を守る、ということが、ときに相反するようなジレンマに陥ることがあるからです。

なんでも「本人が言ったから」と済ましてしまうことは違うとおもいますし、だからと言って、外から一方的に決めつけてさせようとするのも、いくら安全第一が可能だとしても、違うように思います。

その間で、ずっと悩んでます。

ただ、歯科の主治医の話は、その悩みに、これまでとは違う角度から光を当てるもののように思います。

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利用者さん、患者さんの、意思を守ることはもちろん大切。
しかし、同時に、生活の中の今の困りごとに加え、将来の困りごとの予防に対しても、十分に、クライアントに情報と説明を伝えることも大切。
個人は、自分の生活でおこること、自分のなかの習慣や、家族や周りの人に教えられてきた常識が「ふつう」であって、大勢のなかで見た時、長い目で、広い視野でみたときの、その行動がどういう意味を持つのかを考える機会は、あまりないかもしれない。

専門職は、大勢のことを知り、長い目で、客観的に、物事をみる立場にある。
だから、その人にとって、その人が自力で得られるものよりも、もっと広い範囲からの情報を提供することができる。

それをもとに、一緒に考え、よりよい結果を見つけ出すことが、「意思決定」の支援だと思う。

 

世の中に、「先生」と呼ばれる仕事はいくつもある。
社会福祉士が、先生なのかどうかは、実際のところよくわからないし、その時々だと思う。
利用者さんと対等な立場を維持する、という点では、呼称に「先生」をつける必要はなく、むしろネガティブに働く場面も多いと思う。
でも、もし、そう呼ばれる場面で働いたときも、そうでない場で働いているときも、自分が何をすべきなのか、役割は何を求められているのかという点で、この主治医の話はわすれないでいたい。

歯科での私は単なる一人の患者であるけれど、その単なる一患者の立場から、専門職がどうあるべきなのか、学ばせていただいた。

口の中の骨が変形してるのはどうかとおもうけれど、こんな話がきけたので、とてもよい歯科通院だったと思う。

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あ、きちんと歯磨き、定期受診、早期受診と早期相談、大事です。
以上、森のすず社会福祉士事務所からのメッセージでした。

ちなみに、前編ブログは↓↓↓

自分で経験した早期相談の難しさと必要性~歯科通院で得たもの①~

http://morinosuzu.jp/2019/04/20/862/