こんにちは。森のすず社会福祉士事務所 社会福祉士の森保です。モリホではありません、モリヤスです。
さて、日本各地で水害や地震といった災害が起こっています。
災害の現場では、発災直後から数日間は救命活動が最優先に行われる時期、そしてその後、災害の状況に応じて、避難所暮らし、仮設住宅暮らしなど生活スタイルにも変化をもたらしながら、街や生活の再建に向かっていくことが一般的です。
生活を支えること、支援を連携することなど、社会福祉士も災害時の支援をおこなっていたりします。
もちろん、災害時だけでなく、平時でも社会福祉士はいろいろ働いています。
ところで、社会福祉士は英語ではソーシャルワーカーと呼ばれますが、ソーシャルワークっていろんな分野があります。
共通しているのは、誰かの、またはどこかの地域の課題を解決するために、相談を受け、その人や地域をエンパワメントして、よりよい社会を実現するために取り組んでいく、ということでしょうか。
なお、専門的に「相談を受ける」ことを仕事にしている職種は結構あると思います。
カウンセラーは代表的な相談を受ける仕事でしょうし、カウンセラーといってもいろんな間セラーがあります。
高齢者介護分野だと、生活相談員や支援相談員の方の職種は社会福祉士には限られていない事業所は多いと思います。
資格はいろいろあるでしょう。精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、臨床心理士・・・などなど。ほかにもたくさん。
そのようにライセンスはさまざまだと思いますが、相談援助を行う人や、対人支援を志すと、必ず何度も出会う「バイスティックの7原則」!
何度振り返っても、その都度見直すべきことがあるこの7つの原則について考えてみます。
***
7つの原則とは、以下の7つ
個別化
意図的な感情表現
統制された情緒的関与
受容
非審判的態度
自己決定
秘密保持
どれも、ケースワーク(個別支援)の中で大切です。
一つずつ、私なりに振り返って確認してみます。
①個別化
「あー、はいはい、〇〇なパターンね」と、パターンにはめ込みたがる傾向は、血液型占いや星座占いをみると思い当たりそう。A型だからといって几帳面ではない人もいるし(私です)、たった4つのパターンで何がわかる?という気持ちは、お遊びの話だと分かっているから笑って済ませられるのです。しかし、これが相談の場になると、笑ってはいられません。同じ病気でも、同じような経済状態でも、それはごく一部が、「同じような」見せかけになっているだけです。個別化というものは、「あなたは、あなたです。」という当たり前の捉え方をしなければならないという話ですが、このアタリマエがなかなか難しく、きちんと意識をして、個別化の原則を考えたいと思います。
②意図的な感情表現
相談に来て、その人が感情を抑え込まないといけないとすれば、それ自体がつらく、何をしに来ているのかもわかりません。悲しいことは悲しい、嫌なことは嫌、怒りたいときは怒りを、きちんと出せる場として機能することは、相談に来られた人がきちんと課題と向き合うことにもつながると思います。愛想笑いをしてやり過ごすことがアタリマエになっている相談者さんがいるとすれば、そうではなく少しでも自分の感情を出せる場は大切ですね。リラックスして、ありのままが出せる相談ができるように心がけたいとおもいます。
③統制された情緒的関与
涙もろい、影響を受けやすい、感化されやすいというのは、悪いことではないと思います。ただ、相談援助の場面では、相談者さんの感情に巻き込まれてしまうことは良くないです。相談を通して支援をする側は、感情に流されずにいなければ、一緒になって感情的になっていては解決の糸口もみつかりませんし、安定した支援もできません。共感と、同情的に飲み込まれる思いは違います。感情を一体化してしまわないように、ワーカー自身が自分の立ち位置を確認しつづけることが大切だとおもいます。
④受容
②意図的な感情表現にも関係しますが、「受容」って大切だとおもいます。『なるほど、あなたは、そう感じているんですね』とその気持ちを感じていることを受容する態度は、大切。それが、間違った感情だとか程度がどうとかは、関係なく、その気持ちを感じていること、感じてしまってつらいこと、その状態になって困っていること、怒りがあることなど、そのままの状態を受容することは、安心して話せる場にもなるとおもいます。
⑤非審判的態度
ジャッジしてもらいたくて行くわけではないんですよね、相談に。相談にいって、正しいかどうか言われても困ります。たとえ、「正しい!」といわれても、だからといって状態が改善するわけでもなく、「ただしくない!」といわれても、改善するわけでもなく。むしろ、ジャッジされることで、相談する気持ちは萎えます。④受容とともに、ジャッジしない態度というのはとても大切ですね。
⑥自己決定
人はやっぱり自分で納得して選んだことしか、続きません(納得して選んだはずでも、つづけられないこともありますからねぇ)。自分で選ぶ、自分で決める、というのはとても大切です。相談援助を行う際には、決めることのお手伝いをします。決めることって、実はけっこう難しいものです。朝ごはんは、ご飯がいいのかパンがいいのか、そんな一見簡単な選択でも、いろいろと人は判断をしながら決めているのですが、それに介護の制度だの、保険の制度だのが入ってくると、まずはそれを正しく理解できているかどうかで、決定の結果が変わってきますね。自己決定をきちんとできるように、支援を行いたいとおもいます。
⑦秘密保持
ここでしゃべったことが、外に筒抜けになる・・・!!! これほど、嫌なこと、怖いことはません。そんなことにならないよう、秘密保持は大切です!
以上、あらためてバイスティックの7原則を振り返りました。
どれも、大切ですね。
どれも、相互に影響して、大切。
どれかが抜けると、相談するのは躊躇します。
どれも大切なので、どれか一つ頑張る!というものでもないとは思いますが、中でも「非審判的態度」というのは、しばしば自分を客観的に見るようにしなければ、ついついおろそかになりそう・・・。
やはり、相談者さんのお話をよく聞いて、様子や好みを確認して、一緒に課題の解決方法を探すことが大切で、支援者側が決めつけてかかるというのは、良い結果にはつながりにくいように思います。
信頼関係をつくり、保つためにも、バイスティックの7原則は大切ですね。
また時々振り返りたいと思います。