日: 2018年9月12日

福祉における『合理化・効率化』~利用者さんを大切に思うからこそ~

こんにちは、森のすず社会福祉士事務所 社会福祉士の森保です。
だいたい、「もりほ」さんって呼ばれますが、「もりやす」です。

仕事内容が多岐にわたるので、『何がどうなっていたっけな??』と混乱することがときどきおこる私。
いや、それは単に、スケジュール管理や資料管理が下手だからだ、と反省することしきりです。
だって、私よりももっと多岐にわたる仕事を、もっとたくさん、しかもスマートにしている人はたくさんいるのだから・・・。
能力を他人と比べても仕方がないのですが、自分のなかでできる範囲で、効率よくできる方法を考えねばならないなぁ・・・と思う今日この頃。

 

ところで、今にしろ、以前の法人に雇用されて働いていたときも、仕事の効率化はスキルアップのためにも常に課題の一つなのですが、『効率化』という言葉を用いると、なんだか風当たりが強いような・・・、、、え?私なにかおかしいこといいましたか?みたいな感覚になることがありました。

そのときのことを考えながら、思うところをまとめました。

対人援助、対人支援の場で、「合理化を考えなさい」「効率よくしましょう」というと、大抵反対意見が出る。
一方で、「忙しい、忙しい、人では減る一方、仕事は増える一方、どうしたらいいの」という声も聴く。

 

本当に、人手が少なく、仕事が多すぎるのであれば、やるべきことは「合理化で効率UP」しかない。

 

なぜ福祉の世界で、「効率化」とか「合理化」が敬遠されるのかを考えると、やはり『そんな、人をモノみたいにできない!』という話になるのだろう。
たしかに、例えば入浴支援で、ベルトコンベアーに乗ってくるモノのようにゴシゴシあらってはい次!というわけにはいかない。
そんなことは、当たり前だし、そもそもそれは、対人援助・支援における「合理化」ではない。効率化でもなんでもない。
むしろ逆だ。お風呂に入りたい気持ち、入りたくない気持ち、、、いろいろ考慮せず、強引に職員側のペースでやっていくのは、何のプラスにもならない。
信頼関係はなくなるし、自発的な気持ちも持ちようがない、そうすれば自分でしようという気にもならないし、されるがままだとできることもできなくなり、自立支援とは全く逆の方向へいってしまう。

介護や福祉の世界で必要なのは、利用者さんをベルトコンベアーに乗せることでも、言うことを聞かせて思い通りに操ることでもない。

 

必要な合理化は、事務作業の効率化、入力作業の合理化、すなわち、例えばICTを活用できるところは活用する。
省けるところは省き、業務改善をする。
時間をかければいいというものではないし、手間暇をかければいいものでもない。

ミスを減らす工夫とともに、重複した作業を減らし作業量を軽減することは、これまたミスを減らすことにもつながる。
だいたい、何度も手書きであちこちに書くような仕組みは、忘れやすいし、間違いやすいし、新人には覚えにくい。
それが代々続いてきた方法だとしても、もっと改善できるのではないか、もっと効率よくできるのではないかという視点を、事務作業や非対人援助の部分では突き詰めていくべきだと思う。

 

その結果、本来するべき対人支援に時間が取れるようになるだろうし、自立支援ももっと心掛けることができる。

 

福祉施設や相談機関の「合理化」「効率化」とは、決して対人部分の簡略化をするのではなく、支援者自らの、基本的な事務的業務のスキルアップと、業務全体の見直しを常にすること。

そこを前提とせずに話し合うと、効率化を提唱する人がまるで人でなしのように避難され、「利用者さんのことをもっと考えるべきだ!効率化だなんてとんでもない」と言われる結果になる。

そうではない。利用者さんのことを、もっともっと考えたいからこそ、効率化や合理化が必要なのだ。