意思決定の支援で大切なこと

こんにちは。森のすず社会福祉士事務所 森保です。

私たち社会福祉士の仕事は、一言でいうとメインは「権利擁護」なのかな、と思います。
が、この四文字はいかにも難しい…。

もっと簡単に言うと、「意思決定の支援」・・・・さらに簡単に言うと「自分のことを決めることのお手伝い」とでも言いましょうか。

まぁ、「意思決定の支援」ということでいいでしょう。

 

ところで、福祉や介護の場面では、ご本人と周囲の人と支援者との「こうしたい!こうしたほうがいい!」という思いは一致しないことがしばしばあります。

「家に帰りたい、家で生活したい」と思うご本人に対して、支援者目線では「自宅での生活は難しい、施設で生活したほうがいい」というような感じです。

こんな場合、どうすれば良いのでしょうか?

 

日本社会福祉士会は、倫理綱領と行動規範を定めています。

https://www.jacsw.or.jp/01_csw/05_rinrikoryo/files/rinri_kodo.pdf

その中の「倫理基準」では

( 利 用 者 の 自 己 決 定 の 尊 重 ) 社 会 福 祉 士 は 、 利 用 者 の 自 己 決 定 を 尊 重し、利用者がその権利を十分に理解し、活用していけるように 援助する。

と定められています。

 

悩みどころは、やはり専門職から見ると、ご本人が望まれていることがハイリスクであったり、無謀だと思える状態であったり・・・。そのような場合には、支援者にはジレンマが生じます。

そんなとき、まず、大切なのはしっかりとアセスメントをすること。
支援者の直感で、「危ないにきまってる!」というのはよくありません。
なぜ、危ないと言えるのかを、きちんと理由をつけて説明できるように考えていく必要があると思います。
そして、その危ないかもしれないことを、ご本人がしっかり理解されているのか、そうでないのかも含めたアセスメントも大切でしょう。

「危ないのは重々承知だ、でも、やりたいんだ」というのと「よくわからないけれど、どうしてもやりたいんだ」というのとでは、何かがあった場合に事は変わってくるかもしれません。
後者の場合、「危ないってわかってたら選ばなかったのに」ということが生じる可能性は、前者より高いものです。

つまり、ADLやIADLなどの把握とともに、理解力や判断力についてもアセスメントする必要がます。

そのうえで、今後に想像されること、支援者が提案していることの理由をきちんと伝わる方法で伝える努力も必要でしょう。

 

そこから、ご本人の気持ちに寄り添い、これから先の自分の人生をどう生きていくかを考えることをサポートすることが、大切なんじゃないかな、と思います。

 

時に支援者は、自分たちの仕事を増やさないことを無意識にも考えてしまっていたり、組織の体裁や社会の一般常識という固定概念にとらわれて、ただただ安全を優先とすることに決定を方向付けがちです。

そのことを自覚しておくのも、福祉専門職の大切な基礎技術のように思います。

命の安全はもちろん大切。それを望むご本人もいらっしゃるでしょう。一方、イキイキと生きたい人生を生き抜くことを大切に思われるご本人もいらっしゃることでしょう。

そして、生きている間の感情と、死を目前にしたときの感情は、きっと変化するのが人間というもの。

 

意思決定の支援は、一度きりの究極の選択ではなく、日々変わる状況を踏まえて、ご本人のこれからを、可能な限りご本人が選ばれるのを支援すること。
気持ちと状況に寄り添いながら、分かり易く見通しを伝え、そしてその意思を尊重する支援をおこないたいと思う今日この頃です。