福祉における個別援助の防災への展開

こんにちは。森のすず社会福祉士事務所 森保純子です。

私は今年の夏、「災害時ケアプランコーディネーター養成研修」という研修を受けました。

これは、心身の状態により避難等に際して配慮が必要な方への、個別プランをつくることを支援する役割を担うものです。分かり易く言うと、日ごろは個別支援計画等で活動を支援している方について、災害時に備えた準備もしていただくために、必需品などの準備物の確認から、いざという時の避難の想定までを行うものです。

「いざという時に備えましょう」ということは、支援の必要性の有無にかかわらず、私たちの生活の中でも折に触れ言われていることです。防災リュックを用意すること、食料等の貯えを持っておくこと、水をためておくことなどは、良く知られた「備え」だと思います。また、逃げる場所の確認、家族間での集合場所や連絡方法の確認なども、定期的に確認すると安心です。

福祉について考えてみると、例えば車椅子を利用されている方は、物理的に避難が難しい状況に直面することが考えられます。認知症や知的障害など、判断が適切にできにくい場合は、逃げるということの必要性や逃げ方や逃げる先などをうまく決めて行動できないことも考えられます。

個別援助を考える際、「もしも災害が起ったらどうするか」とイメージをすると、どうしても、その時の逃げる方法を真っ先に考えがちです。私がこれまでに聞いた話でも、例えばケアマネさんや相談支援員さんは、発災を想定すると「落ち着いたら、利用者さんの様子を見に行く」と考えている方も結構いるとか…。

本当に、いけるのでしょうか?私たち個別支援をする福祉職は、一人で大勢の利用者さんのプランを作成したり、日々の生活を支援しています。自分自身も被災しているかもしれない状況で、本当に、発災直後に駆けつけることは可能でしょうか?

答えは、おそらく、「難しい」です。

道は通れなくなっているかもしれません。川が溢れて、陸の孤島になっているかもしれません。そしてなにより、支援者が無事で動ける状態であるとも限らないのです。

災害が起きた時、自分の身は自分で守ることと、そばにいる人たちで協力してなんとかすることしか、できません。離れた場所にいる人は、発災時やその直後は無力です。いや、きっと、広域に災害が起きているのなら、一人一人が自分と周囲の人を助けるのに必死です。

なので、その時は、「支援者である私が!」と思わず、その人が周囲の人ともにうまく生き延びられるよう、その確率を伸ばすべく、日ごろに取り組む必要があると思います。

 

例えば、非常用持ち出し袋を準備することは大切ですが、その中に何を入れておくか、は、どのように考えると良いでしょう?

人によって生活に必要なものは異なります。

まず、平穏な時に必要としているものを、リストアップしてみましょう。

私の場合、「眼鏡、コンタクト、コンタクト保存水、コンタクト容器、タオル、バスタオル、ニベア、シャンプー、リンス、化粧道具、鏡、ブラシ、歯ブラシ、歯磨き粉、靴下、下着、セーター、シャツ、上着、靴下、靴、髪の毛をくくるゴム、マフラー、パソコン、マウス、手帳、スマホ、ガラケー、充電器、コード、財布、小銭入れ、名刺入れ、ハンカチ、ティッシュ、リュック、帽子、水、チョコレート、バナナ、ジャムパン、カレー、マグカップ、スプーン、箸、ベルト、ズボン、ドライヤー、車、車のカギ、傘、マイバック・・・」などなどです。

人によっては、「薬、お薬手帳、杖、車椅子、吸引機、紙パンツ、パッド、ワセリン、消毒薬、消毒用アルコール、脱脂綿、ガーゼ、ピンセット、酸素、バッテリー、補聴器、・・・」などなど、医療的なケアに必要なものがあると思います。

 

日常に必要なものの中から、災害時にも持ち出さなければならないものを考えましょう。

「災害」といっても、津波と川の氾濫と地震であれば、それぞれ避難行動も変わってくるので、持ち出すべきものも分量も変わってきます。

詳しいことは各地域の特性を確認して、どういう災害でどれほどの被害がでる可能性があるのかを考慮して準備をすべきだと思いますが、ひとまず、「3日生き延びるためには何が必要か?」を考えてみると、必要なものとさほど必要でないものがわけられると思います。

私の場合、絶対に持って出たいものは、「眼鏡、コンタクト、コンタクト保存容器、コンタクト保存液、替えのコンタクト」です。最低でも「眼鏡」は絶対!です。

自分専用のもの、他の人が使っていないけれど自分には必要なものなどは、持って逃げたいものです。一方、他の人も持っているモノ、手に入りやすいモノは、後回しです。

持ち出すものの目途がついたら、次は、どうやって逃げるか、です。

これは、日ごろの移動は例えばガイドヘルパーさんにお願いしていたり、ヘルパーさんや介護タクシーを使っていることが多いかと思いますが、いざという時には当然、来てくれません。

この部分は、地域の力、ご近所さんの力での協力が大切です。

みんなで助かる!

そのために、福祉専門職、個別支援の支援者は、平時に何をしておくべきか?

それを冷静に考え、今、取り組みを始める必要があります。