災害でなくす命を減らすために~災害時に役立つ平時の取り組み~
こんにちは、森のすず社会福祉士事務所 社会福祉士の森保です。サッカーは、コスタリカ戦で、森保ジャパンが勝利でした。もりやすジャパン!
浮かれた気持ちは置いといて・・・。
昨日、今日と「災害時ケアプランコーディネータ養成研修」を受講しました。
もう、いつ起こってもおかしくない南海トラフ巨大地震。
最近、ものすごく勢いが強く暴風暴雨をもたらす台風。
突然起こる、地震。
日本は火山が多く地震は起こりやすい環境ですし、台風や豪雪など四季折々の気候は美しいだけでなく牙をむくこともあります。
日ごろの準備と、いざという時の判断が、災害時に生き延びられるかどうかを左右します。
少し、防災と個別支援について考えましょう。
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ところで、「災害時ケアプラン」とは、障害のある方や高齢で足腰の機能が低下していたり判断力が低下していて自力での避難行動が難しい状態にある方の、災害時の避難等防災の行動について、個別に必要な行動や支援を考え、支援者らと共有するためのプランです。
では、誰が支援するのか?
災害時、少しでも何らかの災害を経験した方ならわかると思いますが、いろいろなサービスは停止します。
普段、支援として介護サービスや障害支援サービスなどの公的な制度を利用したサービスを使っている場合も、発災時にそのサービスが同じように使えるとは限りません。
もしたまたま発災後に、もうしばらくするとヘルパーさんが来るはずになっていても、災害が大きければ道が壊れたり、乗り物が止まったりして、ヘルパーさんは予定通りには到着できないかもしれません。
災害時、頼りになるのは、地域の力です。
自分の力と、自分の近くにいる人の力が、パワーになります。
自助と互助の支援が、災害犠牲者を減らします。
ところで、「いざというときには、支援しましょう!」というのは簡単です。
しかし、それでは何をどうすればいいのか、わかりにくいです。
支援を必要とする方は、当然さまざな生活をされている方です。
同じ障害種別だとしても、体力も、健康状態も異なりますし、性別も年齢も、生活環境も異なります。
災害時ケアプランとは、その人の状況を考慮し、災害時に自分でできること、周囲の人に支援してほしいことを明確にし、いざという時に命を守ることにつなげるためのプランです。
その設定は、本人が災害リスクについてきちんと理解し、備え、また必要な支援を周囲の人に伝え、共有していくものです。
自分一人ではできないことも、周囲の協力があればできます。
防災のためには、それを事前に考え、みんなで理解しておくことが大切です。
ところで、現状では各自治体は「災害時要配慮者名簿」というリストをつくることが義務付けられています。
災害時の個別プランについては、作る方が望ましいのですが、必ず作らなくてはならないものとはなっていません。
しかし、名簿があって「〇〇丁目〇〇号の××さんは、名簿に名前があるから、支援しに行かなければならない」と思っても、何をどう支援したらいいのか分からなければ、困るでしょう。
車椅子を使っている場合でも、それが電動なのかそうでないのか、そもそも移乗はどうしているのか・・・
電動車いすなら、車椅子の重量はかなりあり、バッテリーがきれたら手動で押していくには数人の支援者が必要な場合もある・・・
家の位置はわかっていても、どんな間取りで、どんな部屋があり、どこで寝ているのだろうか・・・
そんな状態でいざというときに家に向かっても、きっと支援者はどうしていいか困ると思います。
『災害時』とか『防災』とか、『地震に備えて』と言いますが、確かに災害というのは非日常の状態に一瞬で世界が切り替わる出来事ですが、人間関係は平常時の延長です。
平常時にない関係が、発災直後に突然芽生えるということは、なかなか難しいものです。
目の前に困っている状態でいらっしゃれば、声をかけたりはできますが、いるのかいないのか分からない場合には、気づき思い出し配慮することは不可能です。
つまり、災害時の備えは、人間関係においては、日ごろの関係性が大きくものをいうということです。
高齢者の支援にはケアマネージャー(ケアマネさん:介護支援専門員)がさまざまなサービスを調整しています。
その過程で、ケアマネさんは本人について、さまざまな情報を掴んでいます。
ただ、ケアマネさんは介護保険法によりケアプランを作成するという役割を担っていて、その業務は介護保険法を根拠に持っています。
現状、介護保険法には、災害時の想定はありません。
ですので、どうしても災害時の話がわすれされたり、気づいてもどうすべきかわからなかったりするかもしれません。
そんなとき、まずは、地域のインフォーマルな関係を強くすることを考えると良いですね。
これまで、民生委員さんが月に1度尋ねて来る程度しか地域の人と話す機会がなかった方は、例えば地域のサロンや認知症カフェ、ふれあい給食、いきいき百歳体操や趣味の場などで地域の方と知り合う機会を持たれると良いでしょう。
突然は難しいかもしれません。
これまでの経緯でご近所づきあいが苦手なかたもいらっしゃるかもしれません。
徐々に、良いタイミングで、良い関係をつくれると良いですね。
支援者は、あきらめることなく、ご本人の資源を増やしていく取り組みをすることで、災害のいざという時にも、無事でいられる可能性を高めることにつながると思います。
さぁ、備えていきましょう!