スクールソーシャルワーカー!
スクールソーシャルワーカーって、ご存知ですか?
略すと、SSW。
私が子どもの頃…かれこれ、30年ぐらい前になりますが、学校にいるのは教員と事務職員だったと思います。
他にもいらっしゃったかもしれませんが、子どもの側からみるとよくわかりませんでした。
校長先生、教頭先生、担任の先生、保健室の先生、そして、学年があがると音楽の先生が登場しました。
当時は学校の門は常に開いていて、保護者や近所の方は気軽に出入りしていました。
私が育ったところは、そこそこな田園地帯で、兼業農家が多く、私の家にも田んぼも畑もありました。
お米だけでなく、季節の野菜や果物も、栽培されていました。
余談ですが、苺も、畑がある家ではよく作られていて、苺は季節になると畑に取りに行って食べるか、近所の人におらうかという経験だけだったので、その後引っ越しをして畑のない家庭になったとき、苺を買うということは衝撃的でした。
柿とかイチジクも同様です。
さて、そんな場所だったので、春になると、近所のおじさんが、苺をビニール袋にいれて職員室に届けてくれていたようでした。
その苺が、どのように消費されていたのかは知りませんが、ある日、廊下にポタポタと点々になって落ちている、鮮明に赤い汁・・・まさか苺の汁だとは思わなかった先生が、ざわざわしていましたが、間もなく苺だとわかって一安心。
当時は、そんな出来事が、笑い話になる時代でした。
時は過ぎ・・・
学校はこの30年の間に様変わりしています。
自由に校門を入って職員室や教室を訪ねることはできにくくなりました。
学校の中だけでなく、子どもが育つ社会そのものも、大きな変化をしています。
家族の在り方、家庭の在り方、社会情勢、国際情勢などなど・・・
子どもとその家族を取り巻く環境はかわりました。
30年前にはインターネットはありませんでした。
核家族化が進んでいましたが、多世代同居も良くある話でした。
専業主婦のお母さんが家にいる家庭が多くありました。
よって、家庭で子どもをみる人が、複数人いました。
兄弟姉妹がいることも一般的でした。
隣近所のおばちゃんやおっちゃんは、地域の子どものことをよく見ていました。
そんな雰囲気は、今はすっかりめずらしくなりました。
学校に求められるものも、きっと変わっているでしょう。
学校にいる教員が求められることや、必要に迫られることも違ってきているでしょう。
すべてを、教員免許を持ち、教員として働いている専門職が、出来る時代ではなくなっています。
たとえば、メンタル面でのサポートには、スクールカウンセラー(SC)が配置されるようになりました。
これは、調べてみると1995年から開始された文科省の事業だったようですが、配置当時はSCとは何をする人なのか、学校では戸惑いもあったように聞いたことがあります。
私は2004年から臨床心理士養成の大学院に在籍していましたが、配置から10年後でも、まだSCがどういう役割を担うのかは、試行錯誤している雰囲気がありました。
現在、スクールソーシャルワーカー(SSW)の配置は、まだモデル的にやっているところが大半だと思います。
なので、たとえ学校に配置されていても、存在を知らない場合もあるでしょうし、何をする人かがわからないために、うまく活用できない場合もあるかもしれません。
その原因の一つに、日本ではまず、ソーシャルワーカーという存在の理解が進んでいないことがあるようにも思います。
カウンセラーという言葉は、かなりの人が、カウンセラー像を想像できると思います。
それは、例えば、医師のイメージ、教師のイメージ、弁護士のイメージ、エンジニア、ドライバー、演奏家・・・いろんな職業について、ある程度はイメージができるのに対し、では、ソーシャルワーカーというと・・・
いったいどれだけの人が、そのイメージを頭に浮かべることができでしょうか?
きっと、解りにくいんだと思います。
なので、まだまだ、スクールソーシャルワークを担う専門職の一つとして、社会福祉士は、ソーシャルワークとはなんぞや!?という疑問が社会から薄まっていくように、そして、スクールソーシャルワーカーがきちんと認識してもらえるように、活動を続けていかなければならないと思います。
ソーシャルワークとは、社会のなかで、個人や組織、そして社会全体に向けて、人がより良く暮らしていけるように、その関係性に働きかける活動です。
分かりにくいですが。
要は、必要なモノや制度や人に繋ぎ、つなぎ合わせ、支え、人として幸せに暮らしていく権利を護っていくことが、役割だとおもっています。
スクールソーシャルワークは、学校の中で、学校の関係や周辺で起こる、子ども、家庭、教員について、メインとしては子どもが学ぶ権利だけでなく、健やかに成長することを守れるように、つなぎ、支えていく役割を担う専門職です。
社会に広く認識され、もっともっと役立ち、子どもがすくすくと育ち、家庭がにこやかになるような支援ができればいいなぁ、と思います。