日: 2019年8月13日

虐待対応研修を受けてきました

虐待関連の法律は複数あって、障害者、高齢者、児童だと、「だれから」虐待されるかという部分の設定に違いがある。そして、その「だれから」の部分の違いにより、対応する方向性も違ってくる。今回は、障害者虐待に対応する研修を受けたので、覚書として感想等を・・・

こんにちは、森のすず社会福祉士事務所 森保です。

『虐待』と聞くと、恐ろしいことをしている情景が脳内に広がります。
ニュースで報道される虐待は、例えば児童の場合、死亡事件であってもなくても、その子どもがされていたことは壮絶なものであることが多いです。障害者の場合も、高齢者の場合も、死亡や、大けがに至るまでの話は、想像するだけでも被虐待者はつらく苦しい時間があったものだと想像されます。

実際、虐待というのは、それをされている人は、その間、とても苦痛でつらく、痛みもあるような状態が続いているでしょう。経済的虐待などで直接の体の痛みにはなっていなくても、生活を脅かすものであることを考えると、その痛みや苦しみは先延ばしにされているだけで、ゆくゆくはその人にのしかかってきます。

先日、障害者虐待の対応についての研修を二日間にわたって受けてきました。

障害者虐待の場合、虐待者(加害する側)は、家族などの養護者、施設等の従事者、そして、職場の使用者の3つに分かれます。
虐待は5種類で、身体的虐待、経済的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待です。
過去に明るみに出た事件の話を聞くと、性的虐待や経済的虐待など、障害者の特性に付け込んで黙らせたり知らないうちに行うようなものがあり、話を聞いているだけでも何とも言えない気持ちになります。

とはいえ、そんなセンセーショナルな事件ばかりが虐待ではなく、虐待は身近にも存在する可能性があります。
自分自身が行ってしまっている場合もあります。
気づいていないだけだったり、うすうすわかっていても他に方法がなくそのままであったり・・・。

虐待の判定は行政の責務なので、自分自身がやってしまっていることが「虐待」なのかどうかは、即座に決定できるものではないのかもしれませんが、不適切なケアやグレーなケアというのは、身近にもある話だと思います。

「知的障害者の方が暮らす施設で、何かをきっかけにパニックになったので、職員数人で取り押さえた」という場面は、身体拘束が行われていると言えます。
遊んでいるつもりでやっていた「プロレスごっこ」が、利用者さんからすると、Noと言えずに仕方なくされているだけの場合もあります。
支援者と利用者のパワーバランスを考えると、支援者が『同意があった』という説明をしても、そもそもその同意ですら、暗黙に言わせている可能性は否定できません。
よくある「ちゃん付け」も、大半の支援者は悪気なく、むしろ親しみをこめているのかもしれませんが、適切な支援であると言い切ることはできず、むしろ子ども扱いしている可能性として捉えられます。大人になっても、わたしを「じゅんちゃん」と呼んでくれる人もいますし、芸能人やスポーツ選手などを、呼び捨てやちゃん付けで呼ぶことはありますが、それとこれとは、何かが違います。少なくとも、子ども扱いのちゃん付けではありません。

いろいろと、不適切なケアは挙げればきりなくあげられます。
きっと、現場の感覚だと、「じゃぁどうすればいいの? ダメだというのはわかる。でも具体的にどうしたらいいのかもなく、ダメダメばかりだと、どうしろというの?」という気持ちになるだろうな、と思います。

支援は、チームでおこなっているのですから、知恵を出し合うことが必要でしょう。
こうすればできる、大丈夫、という方法は、そう簡単にはないんだと思います。

結局、虐待を減らすことは、防止につきます。
それも、不適切なケアを減らすことです。

ちなみに、不適切なケアとは、配慮を欠いたケア。
行いにまよったら、「これは、配慮しているといえるかなあ?」と考えると良いですね

ニュースで見えている虐待事件は、氷山のほんの一角です。

きっとそんなことは、福祉に携わる人なら、一度は聞いたことがあるでしょうし、よく知っていることなんだと思います。

でも、虐待はなくならない。
実際、通報は増え、認定も増えています。
これは、虐待通報の必要性が認知されてきた結果、数字的には増えているということも考えられますが、そうだとしても、やはり、まだまだ虐待防止の啓発は必要です。

正しく知ること。
早期に発見できるよう、違和感を感じられる感覚を維持すること。
おかしいと思ったことがあったら、改善につながる方法を知ること。
通報の必要性を知ること。

そして、虐待の通報は、密告してその加害者を陥れることではなく、本人も加害者も、関わっている人すべてを守るための仕組みであることを知ること。

おや?とおもったときは、「相談」を。

家でも、施設でも、事業所でも、職場でも、「あれ?だいじょうぶかな??」と思ったら、相談を。地域の障害者虐待防止センターや、役所の障害福祉関連窓口等へ。

よりよい社会は気づきと相談から!
安心して暮らせる社会を作っていきたいものです。

 

 

森のすず社会福祉士事務所は、虐待防止に向けて研修講師を承ります。
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