みんなで逃げて、みんなで生き延びる避難訓練~まずは参加できるものに~
こんにちは。こんにちは。森のすず社会福祉士事務所 所長の森保です。
さて、お正月休みも長い人でも今日でそろそろ終わりでしょう。
日曜日の朝、私は隣町の地域で行われた避難訓練に参加しました。
兵庫県のモデル事業として開催された避難訓練に、私は兵庫県社会福祉士会から参加し記録等を行いました。
訓練の事前準備から当日、反省会まで参加して、いろいろと学ぶこと、考えることがありました。
私が思ったこと、感じたことをまとめたいと思います。
たとえば、大きな地震は近いうちに起こるといわれています。
もし地震がおこって津波がくるとなったとき、そのとき避難することを考える・・・
どんなことをするだろうな、と、考えます。
持ち出すものは?
どこへ逃げるの?
外の様子はどうだろう?
そもそも、その時私は無傷か??
家族はどこにいるだろうか?
仕事はどうなる?
・・・。
そんないろんなことを考えると思います。
私の住んでいる地域は住宅が他にもあります。
でも、そういえば、「あの家のおばあちゃんは一人暮らしだな、にげられるかな?」って、考える習慣はないな・・・と。
何故なんだろう?という答えは、今日の避難訓練までの研修や準備のなかで気づきました。
ご近所づきあいがないんです。
知らないんです、周囲の人のことを。
なので、例えばこれまでの台風などでも避難についてのメールがあると、職場や遠く離れた親族は大丈夫かな?と思うことはありましたが、「三軒隣のおばあちゃんはげんきかな」と思うことは、最近はありませんでした。
私が買い物に行くいくつかのスーパーでは、ときどき車椅子の人や、福祉的な支援が必要かなと思う人を見かけます。
おそらく、そんなに遠くない場所にすんでいらっしゃるのでしょう。
でも、どこに住んでいる人で、どういう生活をしている人なのかは全くわかりません。
同じ人をよく見かけ、中にはときどきハイタッチする青年もいますが、実はどこのだれか知りません。
もし、地震がきて避難する必要ができたとき、混乱の中ではその人たちのことは思い出さないのかもしれません。
思い出しても、どこの誰かもわかりません。
でももし、その人が実はつい近所に住んでいるのなら、そして名前を知っていたり、もっと状況がわかっているのなら・・・
逃げなければならないときに、「あれ?あの人は??大丈夫か??」と思い出せるだろうな、と、思いました。
今まで、人生の中では、いろんな場所で避難訓練がありました。
以前住んでいたマンションでも、たしかそういうことをしていたようにおもいます。
でも、「たしか、、、思う」程度の参加具合なので、実際に役立つ避難訓練だったのかは謎です。
そして、そのときに、支援や配慮が必要な人へのサポートについて、必要性を認識されたことはありませんでした。
もしかしたら、車椅子の人や、白状を使う人、逃げる状況を理解しにくい人、歩きにくい人には、参加を無理にしなくてもいいですよ、という配慮があったのかもしれないけれど。
でも、そうじゃないんですよね。
不安は、あっただろうな、と思います。
何かあった時に、逃げ切れないな、と不安だろうな、と。
高齢の人や、支援が必要な人に、いざという時の備えを聞くと『もう、いいんです。その時は、ここで死にます!』という答えを聞くことは少なくないです。
なんとなく、その答えは自分の未来を想定しても、そうなのかな・・・と思わなくもないのです。
でも、その答えは前提として『どうせ、一人では逃げられない。ほかの人の手をわずらわせる。危険になるかもしれない。そんなことはさせられない。他人に迷惑をかけてまで・・・』っていう思いがあるのではないでしょうか。
もしも、みんなで逃げるのが当然、あたりまえ、みんなで逃げて、みんなで生きるのが最善!ベスト!それ以外の選択肢はない!!ということが前提にあれば・・・どうでしょうか。
地域の中で開催される避難訓練に参加することは、地域住民として当然のことだったんだな、と思いました。
もちろん、支援が必要な人と逃げる避難訓練というのは、「よし、逃げるぞ!行こう!ついてこい!!」という勢いでできるものではなく、準備や練習や試行錯誤が必要にはなってくるので、一回訓練したからOKというものではないと思います。
でも、一回で完結できるものであるものはないですよね。
「私たちのことを、私たち抜きで決めないで」ということは、障害がある人の意思決定の場面で言われることでもあります。
一緒に、試行錯誤することも大切だとおもうんです。
そして、その合間に、それぞれの人がお互いにお互いをより良く知り、親しくなり、安心感も生まれて、いざという時の強力な備えになるんだと思います。
もちろん、それは、いざという災害の時だけでなく、日ごろからの地域の繋がりの強化になるでしょう。
繋がりのある地域は、安心で、安全。
繋がりをつくるきっかけはいろいろある。
いろんな人が地域のなかで暮らしている。
知ることは大切。
知りあうことが、安心で、安全なまちづくりへとつながる。
避難訓練から、そんなふうに思いました。