成年後見って何?~もし、自分で自分のことをきちんと判断し決められなくなったら・・・~
成年後見制度って、ご存知でしょうか?
たとえば、あなたがケガや病気などで、残念ながら物事の理解や判断ができなくなったとしましょう。
そこから、どうやって生きていきましょうか?
お金のこと、身の回りのこと、どうしましょうか?
高齢になって、認知症を発症し(自分では分からない間に進んでいることも多いもの)、お金の管理ができなくなってきた。
財布はすぐになくなるし、そのたびに誰かにとられたんじゃないかとおもって疑心暗鬼、家の中はゴミが増えて来るし・・・どうしましょうか。
たとえば、あなたが隣の家に住んでいたとして、その人にどこまで支援してあげられるでしょうか?
お金のこと、サービスの契約のこと、難しいですよね。
成年後見制度は、理解や判断ができなくない状態や、理解や判断をして行動するのに支援が必要な方を支える制度です。
理解や判断のできにくい状態によって、成年後見人、保佐人、補助人という人が家庭裁判所の審判によって決定され、その本人(成年被後見人、被保佐人、被補助人)をサポートしていきます。
本人に関して何ができるかは、後見か、保佐か、補助かという(これを類型といいます)によって異なり、また、保佐と補助に関しては、細かく何ができるかが決められます。(詳しくはまたの機会に)
よく聞く話ですが『家族がいたら、成年後見人とかいらないですよね』という話。
確かに、一般的には家族が本人のお金を管理したり、契約ごとをかわってすることも多いものです。
また、家族が後見人になっていることも良くあります。
しかし、昨今、家族がいても遠方に離れていたり、いろんな事情で縁が薄かったり、血縁はいるものの年上の兄弟で本人のことまで気にすることがむずかしかったり、子どもが大勢いても兄弟間でうまく行っていなくて財産や介護の話でもめていたり・・・。
そんな時には、専門職の後見人等がつくことが、裁判所から決定されることもあります。
専門職の後見人とは、弁護士・司法書士・社会福祉士です。
そんなわけで、家族がいてもいなくても、成年後見制度が全く関係ない話、というわけではないんですね、誰にとっても。
後見人等は、その人が家族や血縁者であっても、専門職であっても、任意で本人が選んだ人であっても、本人のために財産管理や契約ごとをきちんとおこなわなくてはなりません。
きちんと行って、定期的に裁判所へ報告する必要があります。
また、たとえば居住していた家を売るなどに関しては、後見人等が単独でできるものではなく、事前に裁判所に伝え許可を得ることが必要です。
残念ながら、専門職後見人による不正な行いが報道されることはあります。
この点に関しては、私たち専門職は襟を正して、責任をきちんと自覚しなければならないと思います。
とはいえ、そのごくわずかな不正をもって、「これだから、成年後見制度はダメだよ」ということではないように思います。
多くの専門職は定期的な研修と、それぞれの職能団体のなかでグループをつくっていてきちんと業務が遂行できるように取り組んでいます。
もちろん、信頼回復と維持向上のためには、私たちがきちんと頼りにしていただける働きをしていかなければなりません。
成年後見制度は、たとえ本人の判断力が生活を安全に思うように送るためには不足するような状態でも、人としての尊厳を保ち、安全に、本人らしさをもって生活を続けていけるようにする、公的な制度なんですよ。
もし、「必要かも?もっと詳しく知りたい!」と思われるかたは、お住まいの地域の成年後見制度利用支援センターや、地域包括支援センター、役場の担当窓口、お住まいの都道府県の社会福祉士会、司法書士会、弁護士会等にお問い合わせください。