コツコツ社会保障を学ぶ
社会福祉士の国家試験の科目は色々あり、それぞれ人によって得意不得意は違うはず。
それは、自分が今もしくは過去に働いた経験にも因るだろうし、学生さんなら興味関心ややなじみの有無に因るものだと思う。
とはいえ、「社会保障」の科目を好きだという人に、出会った記憶が無い。
そして、私自身も受験勉強をしていた時は、好きではない科目だったように思う。
基本的に、社会福祉士の国試の試験範囲は、かなり広い。
高齢者支援、障害者支援、児童、母子支援、生活困窮者支援、更生保護などなどの実務の分野があり、それぞれに出題があり、当然それに加えて、ソーシャルワークの理論や歴史などの出題もある。
人の暮らしを支援するのは、本当にいろんな制度があり、その制度が今の形になるまで、そもそもソーシャルワークというものが無かった時代から、人はいろんなことを行い繋いできたわけで、そりゃそれを理解しようと思うと、そう簡単な事ではない。
そんななかで「社会保障」とは、人々が安心して暮らし、自分の自己実現を目指してチャレンジすることもでき、何かあっても「なんとかなるわ」と思って暮らし続けていくための制度なんだけれど、いろいろと多いし、細かいし、言葉は難しいし、制度だから使われ方も厳密。
でも、私たち社会福祉士にとっては、現場ではこの制度の知識は、なくてはならない。いや、実際は、細かな制度は調べればわかるので丸暗記はいらないけれど、でも、おおよそどういう制度があり、どういう人が使えて、どんなふうにすれば利用できるのか、という概要は知っておいた方がいい。
知らないと、「繋げない」のだから。
まぁそんなわけで、令和3年度の国試の社会保障の問題を見ていたわけだけれど、事例問題では、「知っていなかったら解けないけど、知っていたら解けるな」と当たり前のことをしみじみと思った。
短いけれど、まどろっこしいほどに状況を説明している文章の中に、『ここがヒントだよ!』『ここで判断してね』と訴えかけてくる単語がある。
それをみて、ピンとくるか来ないかは、結局は、おおよそ知っているかどうか、にかかってくる。
わざわざ年齢を書いたり、就業状況を書いたり、外出の目的を書いていたりするのは、やはりそこに、制度が使えるか否か、制度の対象となるのか否かが隠されていて、それを見てピンと感じ、必要な制度の概要を思い浮かべられなければならない。
実務に入ると、実際に手続きをするので、慣れてしまえば「当たり前」の社会保障の制度の使い方。だけれど、国試を受ける段階の人にとっては、あまりなじみのない制度の細かな(さほど細かいわけではなく、実務をしていると自然と覚えてしまっているレベル)ことであるだろう。
丸暗記する必要はないが、豆知識としては知っておいて欲しいことはたくさんある。
それは、仕事の上では利用者さんや相談者さんの生活維持に役立つものなんだろうけれど、その延長線上で、自分や身の回りの生活も安定したものにすることにつながる。
生活保障は、何も困っている人だけの制度ではなく、私たちの日常で役立っている制度がいろいろあるわけだ。「みえないけれど、役立ってるんだよ、」という感じ。
これから国試を目指す人で、もしも社会保障の分野が「嫌い」と思う人は、是非、『社会保障が全くない世の中』を想像してみてほしい。令和の世の中で暮らすにあたり、胎児の段階から、生まれて、育って、大きくなって、年をとり、この世を去るまでの生活を、想像してみてほしい。自然災害が起こり、海外情勢により経済的には不安な状況で仕事や収入が途絶えたり、高齢になり働かなくなり、もっと高齢になり身体が弱り認知症もあり、どうやって暮らせるだろうか、と。
私もやってみたけれど、上手く想像ができなかった。
それだけ、いつの間にか私は社会保障制度にサポートされて暮らしているわけだ。
そう思うと、何よりも身近に感じていい科目ではないんだろうか?
そんな風におもう今日この頃です。
これから、不定期ですができるだけ続けて、社会保障について制度や、考えを書いていこうと思います。