認知症の早期発見受診勧奨の制度について思うこと

こんにちは。森のすず社会福祉士事務所 森保純子です。

 

2019年も2か月目に入りそろそろ月半ば。
月日が流れるのは早いもので、2025年もどんどん近づいています。
新年度に向けて、予算や計画が立てられるこの時期、これまでの動きやこれからの動き方を大きく眺めてみる時期でもあります。

 

私は、認知症について細々と私が取り組める活動に取り組んでいます。
認知症についての啓発活動は、たとえばオレンジリングの認知症キャラバンメイトがあります。
認知症の人と家族の会では、本人・家族や専門職の協力で、啓発活動を行っています。
数年前のことと比べ得ると、少しずつ理解は広がっているように思います。

同時に、いろいろな制度ができてきました。
認知症の早期発見のための受診や介入の支援には、各市町に「認知症初期集中支援チーム」が立ち上げられていることと思います。
認知症疾患医療センターも増えてきました。
内科や整形外科などの身近な主治医から、専門医への連携体制もできてきています。

しかし、一方で、認知症になっている人が事故を起こしたり、行方不明になることもおこっています。
とくに、交通事故は他者を巻き込み、時には死亡事故につながってしまうことから、運転免許をどうするかは社会的な問題になっていると言えるでしょう。
そして、その課題がいつまでたっても有効な解決策を導き出せない背景は、車の運転が生活を支えることそのものである社会的なものがあるのだと考えます。

 

そういう背景から、認知症の早期発見・早期診断と、運転免許返納や、事故の補償についての制度は各市町で具体的に住民へのインセンティブを伴った形で提案されることが増えています。

そのような状況について、受診する際の動機付けになる点では、良いものでしょう。

 

一方で、認知症だと診断されたあとのことはどうでしょうか?

 

現時点では、まだ、認知症の根治はできません。
進行を遅らせたり、予防をねらったさまざまな取り組みはありますが、どれも絶対的な決め手ではありません。

 

今の時点で言えることは、「規則正しく生活し、適度に栄養をとり、良い睡眠をとり、外に出て楽しく人と過ごしましょう!」ということに集約されるのかもしれません。
それが、認知症カフェであったり、外出機会の確保や、日大切なことだと中活動の創造が目指すところの大きな部分でしょう。

とはいえ、それがいったい身の回りのどれほどにあるでしょうか。

また、認知症と診断されたあと、車の運転をあきらめた後、外出や買い物の足はどのように確保されるのでしょうか?
以前には車で良く行っていた場所へは、今後どうやって行けばいいのでしょう?

 

私は決して早期発見早期診断を否定するつもりはありませんし、それは大切なことだと思っています。
なぜなら、素人目には認知症だと思えても、受診をしてみたら、治る病気である場合もありますし。
そうでなくても、早期に気づくことは、今後に備えるという点では良いことだとおもいます。

 

今後に備えるという点では・・・。

 

認知症になっても、まだ発症していなくても、死ぬまで発症しなくても、安心して住める地域になるように。
それは、いわゆる本人の安心だけでなく、その周囲の人の安心があることも、当然に必要です。

認知症の早期発見早期受診勧奨の仕組みは、今後も全国の市町に整備されていくと思います。
しかし、それが、認知症の人が起こすかもしれない事故の賠償の話のためだけではなく、認知症と診断された人が、その人自身のその後の人生をより良くするための制度や仕組みの必要性が広く認識され、作られていくようにならなければならないと思います。

 

認知症の人と家族を支援し、地域づくりを手掛ける専門職として、微力ではありますが、これからも「認知症になっても安心して生活できる地域づくり」のために何ができるのか、しっかり考えできることに取り組んでいきたいと思います。