発達障害

目に留まったニュース記事から(2月10日) ~ カサンドラ症候群の話

おはようございます、森のすず社会福祉士事務所です。
今日もまだ、寒い一日のようですが、日中は室内に差す日差しは強くなってきた気がします。
春の気配も感じますね。
月曜日、今日もぼちぼちいきましょう。

さて、今朝、Googleアラートで届いたニュースの中で気になったものを取り上げます。

自分ばっかり責めないでね。

今日は大阪日日新聞のこの記事。
カサンドラ症候群とは、発達障害の特性をもつ配偶者を持つ人が陥る、うつ状態になることです。
結婚していなくてもなるとおもうので、配偶者に限ったことではないはずです。
同棲していても、付き合って毎日のようにあっている間がらでも、おこるでしょう。
詳しくは、ニュース記事の下の方に用語解説が掲載されていますのでご参考に。

カサンドラ症候群かも 周囲の無理解、孤立も 
大阪日日新聞 2020年2月9日
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/200209/20200209023.html

記事の中で、カサンドラ症候群から抜け出すための3つのポイントがあげられています。

まず自分の人生を俯瞰(ふかん)し、残りの人生をどう過ごしたいかを明確にする。二つ目が自己犠牲をやめ、世間の価値観に振り回されず自分を大切にする。最後は幸せになるために、自分自身が変わる意識を持つこと

人は物事の原因を捉える時に、自分に非があると捉えやすいか、相手に非があると捉えやすいかの2パターンがあると思います。
もちろん、時と場合によってその原因をきちんと見分け、自己にも他者にも過剰に責任を求めない、逃れない、ということができればベストです。
でも、実際は、自責傾向が強い人と、他責傾向が強い人は、けっこういるものです。

配偶者や一緒に暮らしている相手など、生活が密着した親しい間柄で、片方が自責、片方が他責の傾向が強いと、どうしても生活の中で起こる出来事は、自責する側にその負荷が押し寄せるでしょう。
その責任を求められることが、例えば明らかに片方のミスであって、それが自責する側だとして、双方がその通りだと納得していれば、「あなたのせいです」「はい、ごめんなさい」という会話で終わるのかもしれませんが・・・
カサンドラ症候群になる場合は、そんな簡単なものではありませんよね。

何にしても、ずっと責められる、責任を擦り付けられる、という状況が続けば、不信感や違和感もつづき、気分が下がり、うつの症状につながってもおかしくはないとおもいます。
発達障害があり、たとえば捉え方がいわゆる一般常識から離れていたりすると、責められる原因も責められる側にとっては「え?それっておかしくない?」と思うものです。
でも、自責傾向が強く、相手を大切にしようとしたり、怒らせまいとすると、自分が折れることで解決を図ってしまう・・・。
それが繰り返されると、『何が正しいんだろう?私がおかしいんだろうか?』と思い始め、それまでに得ていた暮らしの中の常識や、考え方、行動様式も否定され多状況になり、何をどうしていいのだか・・・そんな状態です。

 

発達障害だと診断されている人すべてが、そうではないと思います。
そもそも、発達障害という言葉が含むものは、かなり広いですから。
それぞれのそもそもの気質、獲得してきたもの、個性、生活のなかで重要視するもの、力関係・・・いろいろ重なって、おこるものだとおもいます。

カサンドラ症候群になってしまうときに、辛いのは、「会話が通じない、常識のお話が通じない」という体験をかさねることではないかと思います。
本来、配偶者やそれに近い間柄では、会話をするというのは、関係を保つ大切な一つの要素だと思うんです。
いろんなことを話をし、「そうだよね」と分かり合ったり、「それはちがうんじゃないかな」とお互いの考えを伝えあい、折り合いをつけて、生活を切り盛りしていく…そういう過程を続けていく中で、関係性が深まっていくようにおもいます。

もし会話が通じず、行動も片一方が「え??なにそれ??」と思い、消化できないようなことが続くとするならば、それはとても辛い状況だとおもいます。

 

配偶者が発達障害かどうか、というよりも、夫婦関係は外からは見えないことが多く、その中で片方が実は辛い思いをずっと抱えて無理をしていたということもあるでしょう。
二人の関係を続けたいとおもうのか、もう終わりにしたいとおもうのかを考える際、カウンセラー等の心理発達の専門家に相談してみるとよいでしょうね。
ニュース記事では、「カサンドラ・サポートセンター」が立ち上がったとのことですから、そういう専門のサポート機関に相談してみるのもいいでしょう。

「私がおかしいの?」と思うことを、我慢して抑え込まず、状況に理解がある第三者の意見を聞いてみることは、時にはとても大切に思います。

また、周囲の人はそういうことがあるんだ、ということを知っておくといいですね。

自分ばかりを責めない、相手ばかりを責めない、バランスが大事。