STOP介護離職 ~今のために未来のためにみんなのために~
こんにちは。森のすず社会福祉士事務所の森保です。森保と書いて、もりやす。
さて、介護の話をしましょう。
自分の父や母、配偶者の父や母、またはおじいちゃんやおばあちゃんが年をとり、付きっ切りの介護が必要な状態になった場合、「介護をするので仕事を辞めます!」という決断をしようとする場合があるかもしれません。
以前、ひめじおれんぢプロジェクト講演会で『認知症と介護離職の防止について』というテーマで姫路中央病院の東先生が講演されました。
前半が認知症に関しての話、後半が介護離職の防止についての話。
特に、この後半のお話については、総務省等の統計データを交えてのお話で、なるほどなぁとおもった記憶があります。
この時の内容を思い出しつつ、介護離職の防止について考えてみました。
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「一億総活躍社会」というのが提言されています。
簡単にいうと、国民全員が活躍して働き活動して生活しよう!みたいな感じ。
講演では冒頭にその話題から入りました。
介護離職の防止は、「一億総活躍社会の実現」のために必要なこと。
子育てもそうだけれど、介護も職を離れる原因になる。
職を離れるということは、経済生産がそこで無くなるか減るわけで・・・
一億総活躍社会とは、簡単に言うと、みんな活躍して働いて生産していきましょう!なわけですね。
現実的に全国民が!というのはなかなかハードルが高いと思いますが、今の日本の経済状況であったり人口動態であったりを考えると、働ける人は働こう!ということが必要だとは思います。
さて、介護離職についてですが、子育てと異なり、介護は、突然始まり、終わりがいつかわからず、徐々に介護者の肉体的・精神的・経済的な負担は増加することが多いものです。
そもそも、子育ては喜ばしいことだし、「ママ友」という言葉もある通り、子育て中の保護者の輪ができやすかったり、相談窓口もあり、定期健診などで相談する機会も多いです。
相談もしやすいですし、サポートも多いです。
それに対して、介護は、確かに介護者家族の会等は存在するものの、ママ友やPTAの繋がりと比べるとやはり限られた範囲であろうし、介護家族同士が知り合う機会は限られ、相談しやすい内容でもなく、相談窓口もどこにあるのかわからない・・・
そういう背景では、なかなか、家族介護者の負担は大きくなりがちです。
核家族化が進み、専業主婦は少なくなり、介護は実子という風潮もありますね。
もし、その介護のキーパーソンとなる人に、相談窓口の存在や、ケアマネのこと、介護保険制度のことが耳に届いていたらまだいいのですが、中には介護の相談をするのをためらい、自分一人で抱えて身を両親の介護に捧げようとする方もいらっしゃいます。
「親の面倒は、これまでお世話になったのだから、私がみないと」「家族なんだから」という気持ち、相談を受けると伺うことがよくあります。
その気持ち、とても親孝行で、立派だと思います。
私は、その気持ち、すごく尊敬します。
ただ、だからといって介護をするために、自分の生活を一変し収入源である仕事を辞めて、生活のすべてを介護のために変えてしまうのは、ちょっと待っていただきたいです。
一般的に、介護が必要となる80代・90代の方の子どもの世代は、40代後半~50代の頃がおおいようです。働き盛りです。
中年期を過ぎ壮年期に差し掛かった年代の人が、勤めた会社を介護のためにやめ、一時的に無職になり、その後再就職をしようとしても、難しいことが多いです。
仕事を辞めると、そこで収入は途絶えます。退職金が出ても、定年までつとめたときのことと比較すると、その総額は大きく異なります。
収入が途絶えると、介護サービスに払うお金も出しにくくなります。
サービスを使えない分は、自分でカバーすることいなります。
そうやって、気が付いたら、介護を全て自分できりもりし、自分の将来の糧がないということにもなりかねません。
繰り返しますが、親の介護をしよう、親に恩をかえそうということは、大変立派だと思います。
でも、あなたの人生も大切ですよ、まだまだこれからなんですよ、と、思います。
自分の未来を考えておかないと。
あなたも、可能な範囲で幸せに思うように生きることを、選んでもいいんです。
いや、選ぶべきだと私は思います。
そんなわけで、介護離職を考える場合はよく考えましょう。
そして、原則としては、介護は専門職や制度を活用し、どうしても家族でないとできない部分や、時にはしてあげたいんだ、と思うことをされると良いでしょう。
私が聞いた講演の中でもありましたが、『介護休暇が取れる場合は、それを自分が身体介護をする時間にあてるのではなく、「支援体制を整えるための時間」に使いましょう』と考えることは大切です。
介護保険の手続きをしてケアマネさんと話をする、施設を探し契約する・・・家族だからこそできる部分はいろいろあります。
また、本人の今からはもちろん、家族のこれからや今の状態を考慮して、必要なケアプランを考えてくれる、ケアマネさん。大切な存在です。
介護は一人でかかえこまず、制度活用、会社にも相談、ケアマネか包括にも相談。家族の集まりでつながりましょう。
はやいうちの、相談が、ゆくゆくはご家族みんなを支える大切な一歩となります。
どこに相談していいか、わからないときは、お住まいの地域の地域包括支援センターへご相談を。
一人で抱えないでね。一緒に考えましょう。
良ければ私もご一緒に、考えさせていただきます。