発災時の避難支援の備え。

台風10号で、予報の難しさを再認識した状態。
今年の夏の異常な暑さのせいなのか、単なる台風の気まぐれ(実際は、周りの条件との兼ね合いか)か。
いずれにしても、想定外の状態になったり、予想に反するということは、やはりあるんだなという感じ。

ところで、昨今は防災対策については、ニュースでも良く触れられている。
事前の備えが大切、日ごろの備えが大切、そんなふうに毎日のように聞く。
もちろん、自然災害は台風だけではなく、大雨と地滑りや洪水があり、噴火や地震も起こり得る。

いわゆる自助として、自分でできる備えはやっておくべきだろう。
なんとかなる、きっと大丈夫、などという思いを抱きやすいが、それは気のせい。

その上で、自分ではできないこと、1人ではできないことをどうするか。
・・・1人ではできないのであれば、他者の力を借りたり、複数人で協力するしかないだろう。
そもそも、人間は1人で暮らせる生き物ではないので、いまさら「人様に迷惑かけるなんて」という気持ちはあっても、そこで遠慮する必要はないように思う。
いざという時、実際はどうなっていて、誰が誰を助け、誰と誰が協力できるかは、わからない。
ただ、今までの災害直後の状況から考えると、周りの人は出来る限り、周囲の人も助けようとするようだ。
そして、例えば阪神大震災では、地域住民が周囲の、がれきの下に埋まった人を救出していたりする。
おそらく冷静に考えれば危険は多かったと思うが、それよりもとっさに救う行動に出た人たちが多かっただろう。
公的な救出チームが到着する前に、周りの人が協力して助けようしたことで、助かった人は大勢いる。

そんなことは、おそらく想像すると想像できることで、やはり近くにいる人が最終的には頼りになるもの。
とはいえ、今の社会では、それは理屈ではわかっていても、実際の人付き合いというのは難しい。

そんな中、2021年の災害対策基本法の改正で、個別避難計画づくりが始まっている。
これは、1人で避難することが困難な人、例えば自力歩行が困難な人や、避難の判断が分かりにくい人、災害に関する情報を得にくい人らが、逃げ遅れないようにするためのもので、計画が立てられると、災害発生時にはその計画に沿って避難支援が行われることになる。

ところで、身の回りで、この取り組みが実際に行われているのを経験している人は、どれほどいるだろうか?
おそらく、例えば自力で避難できる人や、適切に避難の判断をして身を守れる人で、医療や福祉関係の仕事というわけでもない人の場合、「個別避難計画」の取り組み自体をしらないのではないか?と思う。

しかし、個別避難計画は災害時の避難を支援するためのものだが、その支援を行うのは、災害発生時に周囲に居るであろう人、である。
自分で素早く行動できる人にとって関係のないものではなく、支援者として期待されていたりする。

「いやいや、そんなの期待されても・・・」という声はあるだろうし、その際の想像の中には、災害時にはどうなるかわからないときに、自分と自分の家族等を守ることが最優先だと考えるのもあるだろうし、そもそも居ない場合にどうしようもないという思いもあるだろう。

それでも、個別避難計画の作成は市町村の努力義務とされ、ひとまず5年間で作っていくことが進められている、はず。

誰一人取り残さない社会、というのを言うのは簡単だが、自分自身も含めて、取り残されない社会にするには、どうすればいいのだろうか。
まずは、知ることだろうからか。