【読書の記録2】
三日坊主で終わるであろう、読書の投稿…。2日目。
昨日から読んでいる本は、当分読み終わらないので、以前に読んで記録に残しておきたい、これ。絵も素敵な絵本。
『二番目の悪者』
文字多めの絵本。漢字にルビがあまり振られていないので、小学高学年向け?でも、今、大人が読むべきな気がする。
あらすじは・・・動物が住民の国。
自分大好きで自己中心的で横柄な金色のライオンと、他者を大切にして人助けを厭わない心優しい銀色のライオンがいて、どちらも、金色、銀色、美しいライオン。
金色のライオンはその美しさを皆に褒められ自分でも誇っているが、一方、銀色のライオンは人助けで埃まみれなのでぱっと見はわからず、雨に流されると美しさがわかる。
当然、人のいい銀色のライオンの人気が出てくる。
次の国王を決めるのに、金色のライオンは自分が王様になりたくて、銀色のライオンをつぶしにかかった。
その方法は、「銀色のライオンに通りすがりに殴られた、あいつは意外と乱暴で他の動物に乱暴をしていたのをみたこともあるから、気をつけろ」と、言いふらすこと。事実無根。
ここまでは、たぶん、全体がわかっている読者目線では、金色のライオンが完全に悪い。
しかし、物語はそこから先、当初は、金色ライオンから話を聞いたときはすぐには信じなかった動物たちも、他の動物から似たような話をきくことになり、その話を信じてしまう。
そして、どんどん、その話を広めてしまい、本当のこととして捉えられ、より一層拡散され、真実としてまかり通るようになる。
銀色のライオンに親切にしてもらった人が、そんなはずはない、と言っても、誰もそれを信じない。
銀色のライオン自身は、噂は消えるとおもっていて、反論しなかった。
このあたりの展開が、読んでいて、人間ってそうだよなーと思えて、なんかツライ。
結局、国王選挙に、金色のライオンは自薦で立候補し、銀色のライオンは推薦されて立候補した。でも、金色ライオンの画策により銀色のライオンがヤバいライオンだと思っていた多くの住民によって、王様に選ばれたのは金色のライオンだった。
その後、金色のライオンによる自己中心的独裁により、国は荒れ果て消えた・・・。
という話。
途中で、空から眺めている「雲」によって、この本が伝えたいであろう言葉が語られている。
『嘘は向こうから巧妙にやってくる。』
『誰かにとって都合のよい嘘が 世界を変えてしまうことさえある。だからこそ、なんどでもたしかめよう。』
正月早々、後味が悪い…。
まぁ、そもそも悪いのは金色ライオンだとおもうけれど、嘘をついて陥れようとする人は昔からいるわけで…。
でも、今の時代で怖いのは、一人の人が話を拡散できる広さと速度が昔と全然違って、何なら世界中向けに一瞬で広げられ、また、永続的に広げられる基盤があり、言語も国も時間も超えて広がり、しかもそれが誰にでも簡単に使えること。
噂話は、1人からだけでなく、他の人からも同じ話を聞いたときに、「あの話、本当なんだ」と思ってしまいやすい。
実際、その出どころは同一人物かもしれないけれど、人づてに「~~らしいよ」という言い方で広まり始めると、ルートを追うのは、一般人には難しくなるし、その必要性を認識しない人もいるだろうし。
そして、話を広めてしまう人は、特に良くない話の場合は警鐘を鳴らす気持ちも交じって伝えてしまうので、悪意の存在も人づてに広まり始めると、かくれてしまう。
今の世の中には、いろんな話がある。
だいたいのものは、何が真実か、実際のことはわからない。
確かめようと思っても、確かめらることは限られている。
でも、おそらく、「これ、ほんまに?話の出どころは?何か、確実な根拠ってあるん?」というのは、都度都度考えてみるべきなんだろう、・・・ということ。
子ども向けとしては、噂話をし始める年代に・・・と思うが、その前に、まず大人が読んだ方がいいのだろうなぁ。。。
***
『二番目の悪者』
林 木林 (著), 庄野ナホコ (イラスト)
出版社 : 小さい書房; 第1版 (2014/11/26)
発売日 : 2014/11/26
言語 : 日本語
単行本 : 64ページ
ISBN-10 : 4907474016
ISBN-13 : 978-4907474010