今年は読書&記録をやっていきたいと思います。森のすず社会福祉士事務所 森保です♪
2019年の感想文12冊目は→ 『ルポ 教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち 』(おおたとしまさ著)
私が「毒親」という言葉を知ったのは、10年数年ぐらい前。
スーザン・フォワードの「毒になる親」を紹介されたとき。
スーザン・フォワードの日本語訳本が2001年発行のようなので、発行されてから7,8年後のことだった。
でも当時、毒親という言葉はまだほとんど知られておらず、2004・5年当時、臨床心理学を学び、親子の精神状態や心理分野にもかかわっていた私は、勉強不足な学生だったこともあるのだが、聞いたことはなかった。
さて、11月は子どもの虐待防止月間。
オレンジのリボンは、児童虐待防止の目印。
子どもが、安心して暮らせる社会になることは、アタリマエだけれど大切なこと。
ところで、この本、タイトルは一見すると分かりにくい「教育虐待」。
教育は本来、子どものプラスになるもので、子どもが育っていく過程の中で「受ける権利」とされているもの。
一方虐待は、子どものマイナスになるもので、子どもが受けてはならないもの。
矛盾する言葉がつながった四文字熟語になったタイトルは、目を引く。
おまけに、「毒親と追いつめられる子どもたち」と書き添えてあるのだから、平積みされた書店の棚で、自然と手に取った。
とはいえ、一応、教育、精神・心理、社会福祉など、一通りかじっているので、内容は想像がつく。
想像がついたうえで、とても興味が湧いたので、読んでみることにし、レジに持って行った。
何事も、それが、親の行き過ぎた思いだけで決定され、押し付けられ、そこから逃れられず、窮屈以上に辛い思いをするのであれば、子どもにとってはマイナスになる。
それが、たとえ高学歴を得られる結果となっても、マイナスになる。
結局は、社会でどう暮らしていくか、どんな大人になり、どんな活動をし、生きていくかにおいて、一番重要なのは、まず、「心」の健康なように思う。
それを犠牲にしてしまう形で、高学歴や、何か習い事の高度な技術を身につけたとしても、土台となる「心」が揺らいでしまっては、将来のパワーにはなりにくい。
親と子は、別人格。
親ができたことが、同じ方法で、子が習得できるとは限らない。いや、おそらく、同じ方法でできるほうが、稀なのかも。
なぜなら、別人格、別の人間なのだから。
親が好きなことを、子が好きだとはかぎらない。親がのぞむことを、子がのぞむとも、限らない。
私がこれまで、子どもや親子とかかわる中で感じることは、「恐怖」による支配は、子どもをいくらか動かすことはできる、ということ。
でも、それは、恐怖で動いているだけだって、弊害はもちろんある。
命への危険をちらつかせられた状態では、人間は結構な力がでることがある。
でもそれは、なにか大きなものをすり減らしているんだとおもう。
『厳しくすればできる』という考え方は、表面的にはそれが実際にできている場合もある。
でも、その『厳しくすれば、この子はできるんだ』の言葉は、それだけだと全ては述べられてはいない。
『厳しくすれば、この子は、将来にわたる心の傷を深めながら、今をやりくりする能力があるんだ』
それが、全文なのだとしたら、何を大切にするべきかは・・・。今だけでいいのか、未来を大切にするのか?
この本、紹介すると、子育て中の人からは「つらい・・・」と言われる。
追いつめるつもりはないし、それこそ、「あなたのためだから、読みなさい」などと言うつもりはないけれど、
この本に挙げられている事例を読むと、いろんな意味でつらくなる。
そのつらさは、私の場合、自分自身の子どもの頃に多少被るものが、あふれ出しそうになるからかもしれない。
その熱心さは、どこからくるのか。どこへむかうのか。
あなたのため、は、本当にそうなのか。
子育てだけでなく、パターナリズムに陥りがちな、福祉の支援の中でも、心掛けたい。
- タイトル:ルポ 教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち
- 著者:おおたとしまさ
- 新書: 195ページ
- 出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン (2019/7/12)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4799325353
- ISBN-13: 978-4799325353
- 発売日: 2019/7/12