個別支援と災害に備える話

こんにちは。森のすず社会福祉士事務所 代表の森保です。
さて、2月もそろそろ下旬。春らしくなってきました。いかがお過ごしでしょうか?

先日、ネットニュースを見ていたら、下記のニュースを見つけました。

◆災害時要援護者の避難計画、ケアマネジャーが作成 兵庫県が来年度から
毎日新聞

 

兵庫県では、平成30年度はモデル事業として、福祉職向けの防災対応力向上研修を実施するとともに、県内の2カ所でプラン作成から避難訓練まで行う取り組みをしています。

◆防災と福祉の連携促進モデル事業
兵庫県Webサイト

 

これまで、災害が発生したときに、一人では避難行動が難しい人に対して、どう避難するのかということを、家族以外が考える機会はありませんでした。
毎日の生活支援は、高齢者の場合はケアマネージャーが、障害のある人の場合は相談支援専門員が、生活状況を確認し本人の意思を聞きながら計画を立て、それに基づいて何らかのサービスが提供されていますが、その「毎日」の中には当然「災害時」は入っていません。

しかし、大規模な震災はいつ起こってもおかしくない状況で、避難訓練や防災訓練が行われる機会はさまざまに増えています。
それどころか、もうすでに、大きな地震は各地に起こっています。
台風や高潮で、水害がおこる頻度も増えているように感じた平成30年の夏。

日本各地、どこで何が起こるかはわかりません。
これまで大丈夫だったから、大丈夫、というのは、言い切れません。
備えることが大切だと、感じました。

ところが、備えについて考えた場合、「非常用持ち出し袋を用意しましょう」「避難先を確認しましょう」「家族のなかで、避難先を確認しておきましょう」「171災害用伝言ダイヤルの使い方を確認しましょう」というのはよく言われていますが、基本的に「自分で持ち出し袋を持って、自分で逃げる」が前提であり、「自分で逃げて、家族で再集合をする」という予定であり、伝言ダイヤルも通信機器が自力で使えることが前提です。

確かに、非常時には「自分の命をまもるのは自分!」が基本です。まずは、自分。

では、次は?

例えば地震なら、津波到来までの時間はおおよそわかります。
シミュレーションできるサイトもあるので、知っておくことがまず日ごろにできる備えです。
どこまで逃げると良いのかもわかります。

(もちろん、例えば旅先で被災した場合、何分後にどうなって、どこを目指せばいいのかわからないかもしれません。
その場合、その一面に関しては、身体が健康で逃げる力があっても、援護を必要とする立場になるのだと思います。
なので、適切に逃げられないことは、誰にとっても他人事ではないのです)

日頃、生活の中で何らかの支援が必要な人にとって、自力で動いて逃げるということが難しい方もおられるでしょう。
逃げる、という判断をすることが難しい人もいらっしゃると思います。
日頃はヘルパーさんが来ていたり、デイサービスに通っていたり、家族がときどき見に来てくれたりして、生活ができている場合でも、非常時にはヘルパーさんが助けるために来てくれるわけではありません。
おそらく、同じ地域の場合は被災しているでしょうから、フォーマルサービスの利用は難しいです。

そんなとき、やはり力になるのは隣近所、地域の力。

でも、いきなり「何かあった時には、避難を一緒にしましょう!」というのも、難しい話です。
何をもって逃げないといけないのか、逃げるときにどういうことに気を付ければ良いのか、どこまでならできてどこをサポートしたら逃げやすくなるのか・・・そういうことを事前に確認しあっておくことは大切です。

その際、その災害時要配慮者の方が生活をする上で何が必要なのか、どんな配慮をすべきなのかを知っているのは、ケアマネージャーさんや相談支援専門員さんです。
その日ごろのアセスメント力を活用し、いざという備えにつなげよう、地域の力が活用できるようにつながっていこう、という取り組み。

私も今年度は、防災対応力向上研修と、モデル地区での取り組みに、連携支援員として参加させていただきました。

その取り組みが、来年度から兵庫県内全域に広がっていきます。
誰も取り残さないように、全員で逃げて生き延びるということを、明日から完璧にできるようになるのは無理ですが、少しずつ、助け合いができて生きられる社会づくりへの一歩。

大切な取り組みだと思います。